食卓の向こう側・第2部「命」つなぐために (2)乳脂肪率 「進歩」の行き着いた先
小学生の頃、牛乳が嫌いだった。給食の時に必ず出てきて、飲み終わらないと遊びに行けない。ずっと牛乳とにらめっこしてるうちに昼休みが終わり、飲めなかった牛乳を持ち帰る。
ランドセルの中に入れた牛乳が時々つぶれ、ランドセルが臭くなった。そのことは誰にも言ってない。それを背負い毎日学校へ行くのが苦痛で仕方なかった。
1975年当時、アレルギーを持ってる子供は皆無、牛乳が飲めない理由が存在しなかった。いまだに牛乳が苦手なのはその頃の苦い体験のせいかもしれない。
「食卓の向こう側」今回は牛乳の話。。。おいしい牛乳?
食卓の向こう側・第2部「命」つなぐために(2)乳脂肪率 「進歩」の行き着いた先
「あ、奥さん、その牛乳おいしいですよ。乳脂肪率も他の牛乳よりはるかに高いし…」
人気漫画家、弘兼憲史が描く「黄昏(たそがれ)流星群」の一こま。スーパーでどの牛乳にしようかと迷う主婦に、元乳業メーカー勤務の主人公が声をかける。
なんの変哲もないセリフ。だが、そこに日本の酪農が抱える悩ましさと、牛海綿状脳症(BSE)の根っこが潜む。
「乳脂肪率を以前の3・2%に戻せ」。
福岡県築城町の酪農家、渡辺ひろ子(55)はこう訴える。「そうすれば身の回りのわらや野菜くずなどを活用でき、牛にも環境にも優しい酪農になる」
乳脂肪率とは、牛乳に含まれる脂肪分の割合のこと。法律上は3・0%以上で「牛乳」だが、業界の基準は一九八七年度、3・2%から3・5%に引き上げられた。基準を下回ると生産者にはペナルティーが科せられ、乳価が下がる。
なぜ「乳脂肪率が高いほどいい牛乳」という“神話”が生まれたか。
牛乳の生産過剰や、牛乳を目玉商品にしたスーパーの圧力(バイイングパワー)。「高品質化で消費を伸ばす」業界の決意の中で、目標の一つとされたのが乳脂肪率だった。
乳牛の品種改良や飼料、飼い方の工夫により、一九七〇年に3・3%程度だった年間平均乳脂肪率は、二〇〇二年には4%を超えた。
乳脂肪率をアップするには、稲わらやタケノコの皮では栄養が足りない。このため、より高タンパク、高カロリーのえさを海外に求め、粗飼料(アルファルファなど)の輸入が増加。さらに、穀物など濃厚飼料に、草食動物とは本来縁がない「肉骨粉」(BSEの原因とされる)が加えられるケースも少なくなかった。
だが、「乳脂肪率は『おいしさ』『こく』『後味』のいずれにも、ほとんど影響を与えていない」。全国農協乳業プラント協会が一九九七年に行った調査の結果だ。
脂肪摂取過多がいわれる現代の食生活では、低脂肪乳を選ぶ消費者が増えている。同協会も「不自然な飼養が牛の寿命を縮め、高コスト構造を招いた」と指摘する。
といって「乳脂肪率を落とすことは簡単ではない」と福岡県内の獣医師。品種改良が進み、乳牛が高カロリー飼料に対応した体質に変えられたためだ。
乳牛は(1)乳を出す(2)腹の中の子ども(3)自分の体―の順にエネルギーを使う。「単純に飼料を元に戻しても、牛は自分の体を削って乳を出し、倒れるだけ。“粗食”に耐えうる品種の牛は、もう日本にはいないだろう」
酪農は、そのままでは人間の栄養となりえない草や有機物を、牛の体を通すことによって食べ物に変える知恵。今「水よりも安い」とさえいわれる牛乳は、生産者の努力の証しであり、消費者が求めた酪農の「進歩」でもあったはずだった。
乳を搾りながら渡辺は思う。「目に見えない大きな流れの中で行き着いた先。それがBSEだったのではないか」と。(敬称略)
季節で変わる牛乳の質
乳牛の乳質は、季節によって大きく変動する。冬は濃い牛乳が多く出るが、夏は逆に薄くなって量も減る。一方、牛乳の需要は夏が多く、冬は少ない。乳価の高い暑い時期に無理して搾乳すると、牛に負担がかかり、寿命を縮めてしまう。
転載終わり
乳脂肪率にこういうカラクリがあったとは!
BSEの問題が起きた時、草食動物の牛にどうして「肉骨粉」を餌で与えていたのか不思議だったけど、この記事を読んで納得した。
乳脂肪率アップのために、品種改良されまでされてたとは、驚きである。
スーパーの特売でいつも目玉商品として広告に掲載されてたのは卵と牛乳、その安さの裏に何が潜んでいるか、当時は全く知らなかった。
我が家でも牛乳はいつも冷蔵庫に入っている。デービッドがコーヒーを淹れる時に必ず砂糖と一緒に入れるから…
イギリスの牛乳
青、緑、赤と三種類あって、我が家はいつも青!
三種類の違いは脂肪分の量の違いから決められてて、だいたいこんな感じ。
青・Whole milk 3.6%
緑・Semi skimmed milk 1.6%
赤・Skimmed milk 0.5%以下
イギリスで一番人気があるのは、Semi skimmed milk
日本の牛乳
日本では、省令上によってちゃんと定められてる。
牛乳 3%以上
低脂肪牛乳 0.5%以上1.5%以下
無脂肪牛乳 0.5%未満
ちょっと前にミルクマンが「毎日配達するけどいらない?」と営業に来た。
去年の春、牛乳以外も配達して活躍していたミルクマンのニュースが…
18歳で一人暮らししてたデービッドがお金がなくて食べるものが買えず、牛乳を盗んだことがあったと話してくれたことがある。
その時の経験が、ここ数年の苦難を乗り越える原動力になってる。特に会社が倒産した去年は、借金取りは家に押しかけてくるし、住む家は無くなりそうになるしで大変だった。
新しく作った小さな会社をほぼ一人で回しながら、忙しく働くデービッド、私も最近少しづつ開催する講座も増えてきて忙しくなってきた。
これからは少しペースを落として、料理や家を整える時間をもっと増やしていきたい。ついでに好きなことができる自分時間も増やそう!笑