【映画みたいな恋の話】②もう一度会いたいと言われて
春の訪れが徐々に迫る中、
まるで映画みたいな恋をした、わたしのお話。
今日は初対面の日を経て再開した日のことを綴る。
初対面の日、8時間話をしたことは前回記した。
この日の去り際「もし時間があるならもう一度会いたい」と誘いがあった。
わたしは当然、平日に仕事をしているので会えるとすれば夜なのだが、副業も入れているので突然の誘いには応えにくい。
ただ、この週はたまたま祝日があり、夜は予定が空きそうだったので、とりあえずその日に会うことにした。
午前中から友人と出かけ、その足で昼から飲めるお店へ行き、さまざまな話に花を咲かせた。
散々飲んだのに飲み足りず、わたしがよく行くブリティッシュパブへ。
イギリスに留学して以来、1番好きなビールはギネスなのだが、この店は中でも格別美味しいギネスを出すお気に入りの店だ。
しかも今日は生バンド演奏の日。
間近で音を聴いて気分が高鳴り、友人とも話が弾んだ。
本当は友人と別れた足で彼に会いに行こうと思ったのだが、いっそのことこの場に呼んでしまおうか。
そう思って彼に聞くと、二つ返事でタクシーに飛び乗って駆けつけてくれた。
再会して、ハグをする。
その瞬間、初対面の日には感じなかった別な感情が、自分の中にあるのを感じた。
心臓が飛び跳ねる。
そのまま、同じ席に連れて行って友人を紹介。
しばし自己紹介も交えて談笑した。
その後、一緒に飲み物を買いに行ったタイミングで彼がこんなことを囁いた。
「なんだか、君にキスをしたい気分なんだ。……しても良い?」
ふとよぎる、これまでの苦い経験。
外国人男性たちは、日本人男性と比べるとそういうものの運びがスマートかつスムーズで、相手のペースに乗せられるとロクなことがなかった。
確実に酔っ払っていたのだが、そこは冷静になり。。
体を寄せ、頬だけ彼の顔に近づけた。
すると…彼から優しいキスが。
唇が触れた箇所が熱い。
そのまま私は彼にウインクして、席へと誘う。
そのとき、同席していた私の友人が席を立っていたタイミングだったので、私たちは見つめ合い…
観衆が盛り上がる中、生バンド演奏をバックに、初めてのキスをした。
感触を確かめるように、ふんわりと優しく包み込むようなキス。今でも瞬時に思い出せる、電流が走ったかのような、あの感覚。
きっとそのとき、わたしは彼と恋に落ちたのだと思う。
その後も数時間話し続け、帰るときは2人きりでエレベーターに乗った途端、始まるキスの嵐。
お互いの感情を確かめ合うように、何度も何度もキスをした。
まだ話し足りなかったので、わたしの家の近くまで連れて行って、深夜まで開いているバーでさらにおしゃべり。きっとこの日は6時間くらい話していた。
もちろん電車はない。
彼はタクシーで帰れるとも言っていたけど、なぜかこの人は信頼できると思ったから、私の家に呼んだ。
時間が遅かったこともあり、準備をしてすぐ眠りについた。
その晩、彼が私にセックスを迫ることは一切なかった。
キスをしたり、抱きしめ合って、お互いの考えを確かめていた。
私たちはきっと、2人とも同じ気持ちなんだと。
(つづく)