科目3:地理 について
国際バカロレア(IB) Diplomaコースのグループ3では、歴史や地理、心理学、経済学などから1科目を選択する。
私の学校では歴史か地理を選べたので、地理にした。海外へ出てきたからには、世界の現状をきちんと学んでみたいと思ったからだ。歴史は、教科書をパラっとめくった時に毛沢東がMaoと表記されているのが目に入り、固有名詞を英語で覚え直すことに怖気付いたので、やめた…。
個人的に、地理はとても面白かった。
授業では、貧困、移民、疫病、肥満、農業、環境、観光、食料、スポーツといったあらゆるトピックを学ぶ。それぞれが国や経済の発展とともにどのように変化し、影響を与えてきたかについて考える。生徒15人ほどの少人数クラスで、コの字型に机を並べ、スクリーンに映し出された先生のパワーポイントを見ながら勉強した。
ケーススタディも充実していて、具体例を挙げるなら、
・ブラジルはどのように郊外を発展させようとしているか
・メキシコからアメリカへの移民が両国に与える影響とは
・1980年以降、人間開発指数(HDI)が変化した理由はなぜか
といった問いについて勉強した。事実だけでなく、その問題がなぜ起きたか、その現象が与える影響は何か、なぜ別の地域では異なる結果になったのかなど、深掘りまで行うのが授業の特徴だ。好奇心が強い人は、とても楽しめると思う。
宿題については、毎回のようにレポート課題が出され、コツコツ書き続ける力が必要になる。データや記事を調べながら作成しなければならないため、所要時間は少なくとも1、2時間、多い時には3時間以上かかる。当時はあまり思わなかったが、今考えると結構大変だったかもしれない。
レポートテーマは授業の延長線上で、例えば、「北朝鮮の観光ホテルはどの国の人が利用しているか。稼働率はどのくらいか、誰が所有しているか。政府がどのくらい観光業を握っているか」を書いた上で、自国との違いを考察した。ある時は、もっとざっくりしたテーマで、「観光地化が環境に与える影響は何か」というものもあった。このように、視点を変えながら様々なレポートを書く。
提出したレポートに対する先生の評価は厳しく、きちんと書けたと思っても、もっとデータを集めるようコメントされたことが多々あった。何が評価に繋がるのか非常に分かりにくく、ネイティブも苦戦していた印象だ。最終試験も論文形式で出題されるため、毎回レポートを提出し、練習することで、その対策にもなっている。
そんな中、思い出に残っているのはインターナル・アセスメント (IA) のために学外で行ったフィールドワークだ。これについては、また別でお伝えしたい。
世界でどんなことが問題になっているか、何となくは知っているが、記事やデータを扱って、レポートを書くまでを、日常的に行うことはあまりない。
IBでは、ここには書ききれないほどの、ありとあらゆるトピックを学ぶ。自主的に関連記事を読み、公に発表されている数字を用いてレポート作成するまでの学習を、2年間継続できるのが良いところだ。
ニッチなテーマの連載にも関わらず、予想外に多くの方々がアクセスしてくださっているようで、驚いています。ありがとうございます!