科目1:日本語 A (文学) について
国際バカロレア(IB) Diplomaコースでは、6つの教科グループから、6科目を自分で選択できる。
グループ1では、第1言語の文学を学ぶのが一般的だ。
私は日本語の文学を選択した。この科目のみ、授業も日本語で行われる。もちろん、英語の文学の授業を選択することもできるが、シェークスピア等の古典作品も扱うため、非ネイティブには学習のハードルが高いと言われている。
気になる授業は、通っていた高校に日本人の生徒がほとんどいなかったため、日本人の先生がマンツーマンで教えてくれたり、少人数でのディスカッションが中心だった。
授業で扱う文学は、2年を通じて10作品以上で、例えば、『近代能楽集』や『人形の家』、『舞姫』、『ダブリン市民』、『蟹工船』、『ハムレット』などを学んだ。中には、自分では手に取らないようなジャンルもあったが、IBをきっかけに好きになったものも多い。
作品の選定には一定の規準があり、学校や先生によって扱う作品は様々だそうだ。
授業では、これらの作品の文体・様式の分析を行ったり、作品で描かれているテーマについて、文化的な背景を考えながら、先生や生徒と話し合う。
また、時には、戯曲を音読し、作品独特のリズムを体感してみたり、映像化された作品であれば、その映画を観て、本を読むのとは違った側面から作品を学ぶ機会もあった。
授業中、先生が老婆役で読んでくれた『卒塔婆小町』の「ちゅうちゅうたこかいな」というセリフや、『ハムレット』のモノクロ映画は、今でも忘れられない。演劇や映画が好きな人も、IBの文学の授業はとても楽しめると思う。
宿題については、作品の学習を終えるごとに、授業で学んだ内容を反映させながら作品についてのレポートを書き、先生へ提出するというのが一連の流れだ。
1つの文学作品を、ただ文章を読むだけでなく、じっくり分析したり、大人やほかの人と話し合う機会は、そう多くない。
そんな中、戯曲、随筆、小説、詩歌など、様々な文学を深く学び、ディスカッションやレポート作成を通じて、自分の視野を広げる機会を得られるのが、IBの良さだと私は思う。
(IB Diplomaプログラムでは、このような授業以外に、各科目において、世界同時刻に行われる最終試験や、学外で評価が行われるインターナルアセスメントがある。これらについては別で解説予定だ。)