#ネタバレ 映画「生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事」
「生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事」
2021年作品
まだ「民主主義」の概念が存在しなかった「軍国主義」の日本で、沖縄県民を守り、死んでいった知事がいた
2021/4/15 18:07 by さくらんぼ(修正あり)
( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)
まだ「民主主義」の概念が無かった「軍国主義」の日本で、沖縄県民を守り、死んでいった知事がいた
新型ウイルスとの戦いで、県知事さんたちと国との、対話・対立が盛んな昨今です。
先の戦争当時の沖縄では、県民を守るために国と戦った県知事さんがいました。
島田 叡さんです。
まだ民主主義の概念が存在しなかった軍国主義の日本で、沖縄県民を守り、死んでいった男がいたことは、忘れてはいけないと思いました。
★★★ (ドラマではないので…)
追記 ( 「名金線」 )
2021/4/16 9:27 by さくらんぼ
ふと、映画「さくら」〈1994年〉を思い出しました。
映画「生きろ 島田叡ー戦中最後の沖縄県知事」の、「周囲の人々の描き方」から連想できたのです。
映画「さくら」〈1994年〉も優れた作品ですので、リバイバルやTV放送もしてもらいたいものです。
追記Ⅱ ( クライマックスは想像を超えていた )
2021/4/16 9:53 by さくらんぼ
洞窟(防空壕)から出てきた住民たちの多くから、米軍の「中にいる日本軍を助けますか、殺しますか?」という問いに、「殺せ!」との声が上がった
新型ウイルスの昨今、歯に衣着せぬ正義のトークが売りの、あるTVのワイドショーで、「…ところで東京はどうなってるんだ!」みたいな事をMCさんが言いました。
そして、ご自身で「あっ! 東京には触れていけなかったんだ…」と苦笑したのです。どうやら東京はタブーだったようです。
直後、ひなだんのタレントさんの中には、それにも怯まず東京に対する持論を述べるも方もいらっしゃいましたが、避けて、突っ込まれる方もいらっしゃいました。そうして、すぐ、うやむやに。
どんな業界にもタブーはあるでしょうから、それを責めるつもりはありません。
なぜ、こんな話をしたのかと言えば、映画「生きろ」では、島田 叡さんを称賛すると同時に、彼の周辺にいた一部の人々が、非難めいた表現もしているのです。
そして、その矛先は、とうとう沖縄県民自身にも向けられており、ある意味、自虐的な感じも受けました。
さらに、米軍側の「危害は与えないから安心して出てきなさい」の言葉を信じて洞窟(防空壕)から出てきた住民たちの多くから、米軍の「中にいる日本軍を助けますか、殺しますか?」という問いに、「殺せ!」との声が上がった事まで描いていたのです。
このエピソードが一番衝撃的なクライマックスでした。島田 叡さんの自決以上に。
追記Ⅲ ( 「戦陣訓」 )
2021/4/16 13:42 by さくらんぼ
「島田 叡さんの言葉が正しかったと理解できたのは、戦後かなりの年数が過ぎてから」だった。戦陣訓の洗脳が解けるのには、命が助かっただけでは足りず、戦後かなりの年数が必要になった
「戦陣訓」には「生きて虜囚の辱めを受けず」という一節があるようです。
それを叩き込まれていたらしい沖縄県民の少女に、島田 叡さんが死に場所を求めて防空壕を後にするとき、「米軍がやってきてたら出ていきなさい。あなたたちには危害を加えないから」という趣旨の言葉を残していきました。
少女はあまりに戦陣訓とは違う思想に戸惑いましたが、言われた通りにしたらしく、助かりました。
でも、「島田 叡さんの言葉が正しかったと理解できたのは、戦後かなりの年数が過ぎてから」だと語っていました。
戦陣訓の洗脳が解けるのには、命が助かっただけでは足りず、戦後かなりの年数が必要になったというのは、衝撃的な事でした。
追記Ⅳ ( 「津波てんでんこ」 )
2021/4/16 14:09 by さくらんぼ
最後の最後には、部下の任を解き、職務専念義務から解放した。忠義を誓った家臣に、死を覚悟した殿が、ひまを出したみたいでもあり、何か胸に迫るものが
島田 叡さんは沖縄県知事でしたから、ごく一部の部下も随行していたようです。
でも、最後の最後には、部下の任を解いたのです。
職務専念義務から解放したのですね。
忠義を誓った家臣に、死を覚悟した殿が、ひまを出したみたいでもあり、何か胸に迫るものが。
しかし、「津波てんでんこ」ではありませんが、これで部下は、一人自由に生き残る道を探れます。
追記Ⅴ 2022.3.29 ( 公務員は管轄に就く )
戦争で疎開する人々を描いたドラマは沢山ある。しかし、焼け野原になっても多くの公務員は疎開できないはず。命がけで、残っている住民のお世話をし、管轄を管理する責務があるから
先の大戦で、公務員は徴兵を免れたという噂があるようです。しかし、本当だとしても、徴兵を免れたというのは、あまり人聞きの良くない表現だと思いました。兵隊さんも役所の事務員も、公務員であることに変わりありません。そして、役所の事務員は自ら手を挙げて(ある意味「事務員への志願兵」)、公務員になったのです。
兵隊さんが不足しているからと言って、そんな役所の事務員を戦地に送り、欠員の役所に新人事務員を採用して育てるというのは、志願した者に対する敬意の問題や、労力の不合理があるように思います。そして、戦後の復興期などには公務員の仕事は山ほどあるはず。3.11で被災した自治体では公務員の数が足りず、全国の役所から応援にかけつけています。専門性が必要なため、アルバイトでは務まらないのです。
ですから、役所には手をつけず、別途、兵隊さんを採用して育てた方が理に適うのでしょう。そんな足かせがある公務員が疎開できるのは、この映画に描かれているような職務専念義務からの法的な開放が、必要なのだと思いました。
「公務員から徴兵しろ」という世論が出る事は予想できます。しかし、それは形を変えた公務員バッシングのような気がします。その上「国の存亡をかけた戦時に無政府状態にしろ」と言うのに等しく、国益を考えた時、国は簡単には受け入れないと思います。またエッセンシャルワーカーの一部にも、公務員に準じた措置が取られることがあったようです。
又、先の大戦当時と違い、現代の役所では電算化が進み、その対価として減員も進んでいます。電算化にはお金がかかりますから、減員とセットで行うのが定石のようです。そんな現代において、もし戦争で電算システムが破壊されたら、応急的に手作業で事務を行うのは大変な事です。手間も大変なら手順も違ってきます。その上、復興で追加の事務も出て来るでしょう。今と同じ職員数では、同じ事務は出来ない可能性が大きいです。だからといって、あわてて増員してもすぐにはベテランにはなれません。なのに、もし減員にでもなっていたら、さらに混乱は深まります。
追記Ⅵ 2022.8.8 ( 映画「島守の塔」 )
吉岡里帆さんがヒロインを演じる映画「島守の塔」は・・・
映画「生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事」をドラマ化した作品のよう
です。期待が持てますね。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)