
片頭痛における睡眠障害
序論
片頭痛と睡眠障害は密接に関係しており、その関連性を理解することは非常に重要です。片頭痛の患者さんでは、不眠症、睡眠時無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群などの睡眠障害が多く見られます。これらの睡眠障害は、片頭痛の症状を悪化させたり、新たな片頭痛の発症を招いたりする可能性があります。
不眠症は、片頭痛の発症リスクを高める一方で、片頭痛も不眠症を引き起こす可能性があります。つまり、片頭痛と不眠症は互いに影響し合う関係にあるのです。頭痛がひどい時や、朝起きた時に頭痛がある場合は、睡眠障害が原因となっている可能性があります。
近年では、新型コロナウイルス感染症の影響で生活リズムが乱れ、不安が増加し、不眠症になる人が増えています。睡眠の質が悪くなると、片頭痛が新たに発症したり、症状が悪化したりする可能性があります。
片頭痛と不眠症は、脳の活動に共通の変化が見られることから、密接な関係があると考えられています。これらの関連性を理解することで、片頭痛の予防や治療に役立つ可能性があります。本稿では、様々な睡眠障害と片頭痛の関係について詳しく解説していきます。
片頭痛と睡眠障害の関係
片頭痛と睡眠障害は密接に関係しており、脳の同じ部分の働きが両方に影響していると考えられています。
例えば、脳幹にある中脳水道周囲灰白質、背側縫線核、青斑核は、睡眠と覚醒の切り替えや痛みの伝達に関わっています。また、視床下部の後部と外側部も、覚醒の維持や体内時計の調整、痛みの処理に重要な役割を果たしています。
これらの脳の領域は、片頭痛と睡眠障害の両方に関わっているため、これらの機能がうまく働かなくなると、片頭痛や睡眠障害が起こりやすくなるのです。
実際、ナルコレプシーという睡眠障害を持つ人の約23.5%が片頭痛も経験していることがわかっています。これは、一般の人々の8.3%に比べてはるかに高い割合です。
ナルコレプシーと片頭痛の関連は、脳幹の神経核やオレキシン神経系の異常が原因であると考えられています。片頭痛の患者さんが、日中に眠気が強い、感情がコントロールできないなどの症状がある場合は、ナルコレプシーの可能性も考慮する必要があります。
睡眠障害の特徴
ナルコレプシーは、日中に強い眠気を感じたり、感情が高ぶると一時的に体が動かなくなる「情動脱力発作」や、眠りに入る時や起きる時に幻覚を見たり、体が動かない「睡眠麻痺」などの症状が出る病気です。一方、片頭痛の人は、なかなか寝付けなかったり、途中で目が覚めてしまったりする「不眠症」や、寝ている間に呼吸が止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」など、様々な睡眠の障害を抱えていることが多いです。片頭痛と睡眠障害は密接に関係しており、適切な睡眠をとることがとても大切です。
睡眠管理の重要性
片頭痛の人は、不眠や睡眠時無呼吸症候群など、睡眠の障害を抱えていることが多いです。頭痛が悪化すると、睡眠の障害が影響していると考えられます。コロナ禍では、生活リズムが乱れやすくなり、不眠になりやすい状況です。睡眠の質が悪くなると、頭痛が新たに発症したり、症状が悪化したりすることがあります。そのため、医療現場では、片頭痛の患者に対して、睡眠の障害がないか調べることを重要視しています。睡眠の質が改善されれば、頭痛の症状も軽くなる可能性があります。薬物療法や睡眠の習慣に関する指導など、様々な方法を組み合わせることで、頭痛をより効果的にコントロールできるでしょう。
治療方法
片頭痛の睡眠障害には、薬を使わない方法と薬を使う方法があります。薬を使わない方法では、寝る前に明るい光を避ける、タバコやカフェインを控えるなどの生活習慣の改善が効果的です。薬を使う方法では、オレキシン受容体拮抗薬が、依存性や耐性が少なく使いやすい薬です。オレキシンは頭痛と睡眠に関係しており、片頭痛の発生にも関与しているため、効果的な治療薬となります。また、ベンゾジアゼピン系ではない睡眠薬やメラトニン受容体作動薬も、長期的に服用しても安全で効果が高い薬です。患者さんの状況に合わせて、薬を使わない方法と薬を使う方法を組み合わせることで、症状をより効果的にコントロールできる可能性があります。
結論
片頭痛と睡眠障害は密接に関係しており、睡眠不足や質の悪い睡眠が片頭痛の発症や悪化に繋がることがわかっています。そのため、片頭痛の患者さんには睡眠障害のチェックと適切な睡眠管理が重要です。新しい薬や睡眠習慣の改善など、様々な方法を組み合わせることで、頭痛の症状をより効果的にコントロールできる可能性があります。睡眠管理は片頭痛の予防と治療に役立つため、医療現場では積極的に取り組む必要があります。
片頭痛: 一側の頭に強い痛みが生じ、吐き気や光・音に敏感になることが多い。発作は数時間から数日続き、生活に大きな影響を与える。
睡眠障害: 睡眠の質や量に問題がある状態で、不眠症や睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーなどが含まれる。これにより日常生活に支障をきたすことがある。
不眠症: 入眠や睡眠維持に困難を感じる状態で、睡眠の質が低下する。慢性的な不眠は心身の健康に悪影響を及ぼす。
睡眠時無呼吸症候群: 睡眠中に呼吸が一時的に停止する状態で、特に閉塞性が多い。睡眠の質が低下し、日中の眠気や集中力の低下を引き起こす。
ナルコレプシー: 日中の強い眠気や突然の睡眠発作を特徴とする神経疾患。情動脱力発作や睡眠麻痺が伴い、生活に大きな影響を与える。
メラトニン受容体作動薬: 睡眠を調整するメラトニン受容体を刺激する薬。入眠を助ける効果があり、睡眠障害の治療に用いられる。
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