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「恋の終わり」 青山勇樹
「恋の終わり」という詩を紹介します。
こんなにかたく結びあっているのに
あなたと私とのあいだには
つづいているみちのりがあって
だから時間がいつも
空気になってゆらいでいる
まぶしい陽をみつめていると
不意にあなたに会いたくなって
それなのに誰だったのか思いだせない
あなたの名前も面差しも
こんなに鮮やかに浮かべられるのに
忘れることが罪ならば
覚えていることはとても恥ずかしい
私の瞳にはひろがる海があって
染まるまで泳ぎたい
いつだったかそういったあなただったが
いまではただ小石になって
そのときの声だけがうずくまる
けれどもすでに疾風が去って
海にはもう誰もいない
散ってゆく光が美しくて
空にむかってあなたの声をほうると
思いがけず大きくしぶく音がして
あなたの海で眠りつづけた私に気づく
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