イェイツの詩は百の作品に散った
『イェイツ詩集(対訳)』イェイツ , (編集) 高松 雄一 (岩波文庫)
すでに図書館で借りてから4週間で借り直して、さらに4週間で返却期限が来てしまった。思うようには読めない。読めたのは具体的な事件をイメージ出来る「Easter 1916」ぐらい。イェーツがアイルランド独立に寄与していた詩人ということぐらいは理解出来た。それにしても各レビューアーのレビューを読んで見ると、イェーツよりも二次創作(イェーツの詩のイメージから生まれた作品)から入ってくる人が多いのに驚いた。自分も大江健三郎から、大江健三郎の眼鏡でイェーツを読んでいた。むしろ原詩よりもその二次創作の広がりが面白い。
例えば映画『マディソン郡の橋』のボブ・ディランの詩から。ちょっと自分も調べてみたら映画『ロスト・ドーター』で「レダと白鳥」を取り上げていた。
大江健三郎『燃あがる緑の木』では、第二部のタイトル「揺れ動く(ヴァシレーション)」がイェーツの詩だ。ちなみにこの本での訳では「動揺」という訳が当てられている。大江健三郎の眼鏡で物語の中で読むイェーツは、元気が良くって、
歓びとは何だ?(What is joy?)と問いかけると伊能三兄弟とそれぞれの彼女が“Rejoice!”と答えるのだ。この詩もイェーツの中にあると思ったのだが見つからない。
そして、オーディン(W. H. Auden, 1907-1973)は詩「イェイツ追悼」(1939)で「彼はいま百の都市に散った」と歌ったということを知り、まさに百の作品の中にイェーツの詩は生き続けているのであった。