近江の君は、二代目末摘花だった
『源氏物語 29 行幸』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版)
行幸(みゆき)と読む。鷹狩りの行幸なのだが、大臣共々お供をするのか?それを見物するのに女房連中が押しかける。「葵」での車騒動を思い出すがそういうことはなかった。ここでは玉鬘が内大臣や宮様を観察する伏線として描かれている。玉鬘が尚侍として仕えるということだが、ほとんど愛人を差し出すようなものかと思う。裳着式というのは脱がせるために着飾るのだろうと。
その前に内大臣に事実を告げなければと根回しの光源氏が向かうのは大宮という葵の母君であった。そう玉鬘も夕霧もみんな孫になるのだという事実を頭に入れておいたほうがいいかも。不幸の伏線があるような。
そんな中で末摘花のから祝儀の贈り物があるのだが笑われ役だった。
そして内大臣(頭の中将)に事実を語る光源氏であった。
その噂はたちまち近江の君にも伝わり嫉妬の対象となるのであった。まだ笑い話にできることだから怨念にはならなかったのだろう。近江の君は口さがないがそれで外に発散出来る性格なのだ。六条御息所はそういうことを外に出せずに内に内に閉じ込めた思いが怨念となってしまったのだ。ここでは喜劇で処理しているのだった。