ベルク、天使のレイクエム
『Berg, Beethoven: Violin Concertos』Isabelle Faust(2010年)
イザベル・ファウスト (ヴァイオリン/スリーピング・ビューティ [Stradivarius, 1704])
クラウディオ・アバド (指揮)、モーツァルト管弦楽団
昨日はこれを朝から聴いて臥せってしまった。春頭痛というのがあるようなのでたぶんそれです。花粉症もあるし。この季節は最悪な季節なのです。
で、ベルクの「ヴァイオリン協奏曲」は、ナチス時代にはわかりにくい音楽は退廃芸術として排除されたので、作曲家として生活難で彷徨うのです。ユダヤ人ではなかったのですが、ベンヤミンと通じるところがあります。そしてルイス・クラスナー(ウクライナ生まれのアメリカのヴァイオリニスト)から協奏曲の依頼を受けます。それがベルク最後の作曲となるのです。
それと副題に「ある天使の思い出に」(Dem Andenken eines Engels)の献辞があり、それはアルマ・マーラーの娘マノン・グロピウスが、18歳という若さで急死したので捧げられたのです。ジャケットの写真が彼女なのかな?幼い時から知っている親友の娘でベルクは可愛がっていたらしく、他の作曲を押しのけて短時間で書き上げたということです。
最後の4音が偶然にもバッハのカンタータと同じで祈りの音楽として表現されているのです。それが彼の死と共に彼の自画譜としてのレクイエムとなってしまったと言われる曲です。
最初から不安定な生きづらい世界を暗示させます。ところどころ牧歌的な民謡なども引用されているようですが難解です。第2楽章の激しさは病に侵された苦痛の激しさでしょうか。その晦渋さにベルクの困難な闘いの人生が暗示されて、そして最後の祈りに向かっていくのです。
たいていその間に寝入ってしまうのですが。その後にベートヴェン『ヴァイオリン協奏曲』の安定した美しさも聞き所です。この二曲はよくカップリングされるけど、それ故に名盤となっているような。
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