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短歌を殺すか?人を殺すか?

『短歌のガチャポン』穂村弘

穂村弘が選ぶ何でもありの短歌ガチャ100

現代短歌のフロントランナー穂村弘が腕によりをかけて選んだ、明治から現在までの短歌100首。うつくしい短歌、不思議な短歌、へんな短歌、おかしな短歌、不気味な短歌、かなしい短歌……。好きなところからひとつずつ取り出して、なんでもありのマジカルな短歌ワールドをとことん楽しもう。最初は意味のわからない短歌も、穂村弘の切れ味のいい鑑賞文を読めば納得できるはず。穂村弘は言う。「ガチャポンのハンドルをガチャガチャ回すと、カプセルに入った何かがポンと出てきます。ジャンルだけは決まってて、でも、その中の何が出るかはわからない。だから、わくわくして夢中になりました。」短歌の楽しさと多様性を、ミステリアスでファンタスティックなメリンダ・パイノのカラーイラスト25点と共に詰め込んだ、ホムラ印のガチャポン・マシーンがここに。


出版社情報

ガチャポンは当たりもあれば外れもある。短歌と呼ばれるようになった明治から(それまでの和歌から個人主義的に自立)60年代(このへんの短歌が好きだった)から2000年代(このへんの短歌にうんざり、和歌的)をすべて受け入れる度量の広さを穂村弘は持っているのかと思うが、普通の人はそうではあるまい。自分の好きな短歌が定まるに従って嫌な短歌だと短歌そのものが嫌いになってくる。主流が今の時代に置かれるとそういう短歌から排除された短歌とか考えてしまう。

一番感動したのは最初に出てきた冬のきりんの短歌だった。これは短歌という爆弾。この人はプロレスラーに転向してしまったんだよな。今の短歌界に自分の居場所が無かったのかもしれない。

ペガサスは私にきっと優しくてあなたのことは殺してくれる  冬のきりん


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