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短歌レッスン88

茂吉短歌

斎藤茂吉の百首

クリスマス・シーズンということで七面鳥です。でも七面鳥って食べたことがあるのだろうか?鶏のもも肉と言えばニワトリだし、七面鳥は誰が食べているのだろう。この歌は画家が絵を書くために飼っていた七面鳥を写生して茂吉が17首作ったうちの一つだそうです。そういえば若冲のニワトリの絵があったな。あんな感じの短歌なのか?今日の一句。

七面鳥七面倒で鶏よ

模範十首
今日は『文學界(2022年5月号)』から「幻想の短歌アンソロジー80首」の中から終わりから十首。

わがウェルギリウスわれなり薔薇(さうび)とふ九重の地獄(Inferno)開けば  川野芽生『Lilith』
海蛇はアクアリウムに揺れてをりいかなるnも死を定義せず  吉田隼人『忘却のための試論』
狂うのはいつも水際 蜻蛉来てオフェーリア来て秋ははなやぐ  大森静佳『カミーユ』
音もなく道に降る雪眼嵩とは神の親指の痕だというね  服部真里子『行け広野へと』
心臓と心のあいだにいるはつかねずみがおもしろいほどすぐに死ぬ  平岡直子『みじかい上のも長い髪も炎』
夏の井戸(それから彼と彼女にはしあわせな日はあまりなかった)  我妻(あがつま)俊樹『足の踏み場、象の墓場』
からっぽのうつわ みちているうつわ それから、その途中のうつわ  笹井宏之『えーんえーんとくちから』
砂時計のあれは砂ではありません無数の0がこぼれているのよ  杉崎恒夫『パン屋のパンせ』
人間のふり難儀なり帰りきて睫毛一本一本はづす  石川美南『離れ島』
The world is nineとひくく呟けばはるけき空は迫りぬ吾に  黒瀬珂瀾『黒輝宮』

ウェルギリウスは、ローマの詩人。むしろダンテ『神曲』の地獄篇(Inferno)案内役として「九重の地獄」=薔薇(さうび)という幻想短歌。
「n」はナノだと思う(ネット検索)。こういう面倒くさい人はいやだ。

オフェーリアぐらいだったら文系にはわかりやすい。
「雪眼嵩」は「雪眼炎」から来ているのか?目の病気。
平岡直子『みじかい上のも長い髪も炎』は短歌レッスン86でも紹介していた。オフェーリアの大森静佳『カミーユ』と川野芽生『Lilith』とも、この幻想三姉妹は『文學界(2022年5月号)』の「幻想の短歌」で鼎談していたのだ。要注意人物。
我妻(あがつま)俊樹は怪談作家でもあるようだ。だから「井戸」なのか。

「うつわ」はキリスト教の考えでは「人間」で神の伝承者。幻想短歌はもはや珍しくはないが、それでもリアリズムの共感性を求めるという。その位置にいるのが笹井宏之ということなのか?
杉崎恒夫は東京天文台に勤めていた人で宇宙的な短歌が得意だと。『パン屋のパンセ』は話題の本だが、パン屋じゃなかったのか?

黒瀬珂瀾は名前といい作品名といい英語使いといいヴィジュアル系歌人のようだ。住職なんだ。ギャップ萌?

「うたの日」お題

今日はなかなかお題が出てこない。「草」「栄」「餌」「坂」「過去」「コンパス」「捨て台詞」「風呂」「ロフト」
眠いので早めにやってしまおう。

「草」
うたた寝の山の温泉
草枕
井戸の底からをとめを招いて

いつの間にか五行詩になっていたが、極めるのは三行詩だった。漱石の『草枕』から。時間切れ。

「栄」
美しい国に人らに
栄あれ!
こころ汚れるうたうべき人

この線でいいと思うが。「美しい国」具体的なものが欲しい。ディズニーランド、「鼠の国」

栄あれ!ねずみの国に
ミッキーは
排水溝に流せと歌う

いまいちだ。

「餌」
お題の餌に飛びつく
うたびとよ
ひもじいのか、ひも爺(じじい)か

私のことを詠ったのだけど、こんなの出せないよな。

「坂」
栄光の坂を上れば
下り坂
降りる人生自由に生きろ

イメージが大きいすぎる。もっと小さく具体的詠みたい。

野毛坂を上れば息切れ
図書館と
動物園のときめき坂よ

イマイチ。

「コンパス」
歪んでた駅の道まで
コンパスは
狂っている乗り遅れた俺

出かけよう。今日は駄目な日。

夜の部

「捨て台詞」
捨て台詞拾って使おう
エコだから
捨てるきみあり拾うわれあり

時間切れ!

結果

師走って名前のアート吊り下げたバナナが草間彌生している
『 草 』 ぴより子 #うたの日 #tanka http://utanohi.everyday.jp/open.php?no=3189i&id=11

うたの日

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