11月の創作
短歌
母の秘伝クレオパトラの千枚漬け惚れ薬なら百発百中(11月1日)
想うより思えば想う思わない想うことでの遠い思い出(11月2日)
うたの日にふみしだかれる弓張月 あをぐろき岩陰うき海月(くらげ)見ゆ(11月3日)
東京できみはあきらめて「ええねん」と夜行バスで別れを告げた(11月4日)
絵描きは廃棄処分の椅子に座り100万本の薔薇を描いた(11月5日)
一番星トラック野郎酒厳禁 免停チェッカーズ吹かせますよ(11月6日)
歌詠みは眠らないまま月曜日はこばれ薔薇のばらばらのゆめ(11月7日)
トンビ鳴く小春日和の水平線 陽は沈み月は背後で、蝕(11月8日)
新妻は死者を弔い毎朝をひまわりの数だけ卵を割り(11月9日)
いたずらにみぞれて青く紫陽花は青を閉じ込め砕けるままに(11月10日)
御神籤(おみくじ)はサクマドロップス召し上がれカランコロンとネエやの御告(おつ)げ(11月11日)
銅像に「同志!ハチ公!」呼びかける行き場を求め犬死にせし者(11月12日)
公園を出入り禁止のホームレス ハチ公よりもパトラッシュの夢(11月12日)
そうゆーてどうゆーてとかゆーてない てないくちない岡山女
直角の君がふかぶかと沈む日ふかふかの羽根蒲団をおほふ(11月13日)
時墜ちて「応答せよ」と飛行士の言葉ひびいて回り続ける(11月14日)
太ももを咬まれ続けた木の椅子も懐かしきこと少年時代(11月15日)
牧水のうたをそらんじ空の下薩摩隼人は芋焼酎と(11月16日)
何時(なんどき)も古い歌集を紐解いて男女の中を想像すべし
人の靴でも貪欲に私のものよ シンデレラの姉たちに幸あれ
恋かなう天使の羽根ペンあるならば恋の代筆 伊勢物語(11月17日)
夜鳴蕎麦 屋台のオヤジ風邪をひき客引き夜のツンデレ娘(11月18日)
幻想のインターネットつぶやきもシャボン玉ごと愚痴と消えゆく(11月19日)
愛車には暖機運転するきみは布団はねのけ肌寒い朝(11月20日)
お揃いのサムライブループレゼント君のゴールはオリバー・カーン(11月21日)
いい夫婦殺したいのはどっちだか悪い子メール一括削除(11月22日)
暦なく仕事探して毎日が勤労感謝の日、無職かな(11月23日)
イタリアの巨匠デ・シーカ『ひまわり』や『昨日・今日・明日』『自転車泥棒』(11月24日)
このうちにうちなる血がうつうつとするうっちゃりたいと、ピストルを撃つ(11月25日)
人類の道の中途で人間は花鳥風月恋うた歌う(11月26日)
クリスマス行けたら行くと君の声戦地になって降る雪の夜(11月27日)
破調にて我の恋文破り捨て君は律する愛の鞭にて(11月28日)
人間はプロメテウスの火と繋がれ祈り歓喜す牢獄の夜(11月29日)
いい人は一期一会のいちごパフェ珈琲無糖と無言地獄(11月30日)
短歌自選五首
俳句
天高く弓張月の「バーフバリー」(11月3日)
立冬や禍々しいぞハイビーム (11月5日)
見返り月事件すぎればただの月(11月10日)
冬枯れの紫陽花色を保ちつつ (11月 10日)
返り花残りしものに目を止める (11月10日)
鶏頭や十四五人の指揮者たち(11月11日)
啄木は路頭に迷う冬薔薇(ふゆそうび)(11月13日)
初冬や『パンセ』読む夜(よる)葦である(11月15日)
濡れ落葉ハズレ券舞う競馬場(11月16日)
冬時雨エリマキトカゲ走り出す (11月17日)
朧月ボーリングの玉ガターです(11月17日)
耳当てて水音(みずおと)聞くや枯木立(10月18日)
日々のうた(日記)はわが「ソングライン」
菊満開亀虫静か匂いたり(11月19日)
青空に寄り添う二燐(にりん)返り花(11月20日)
イチョウが黄葉(きば)を向けるとき(11月21日)
テレビ消し父素に戻り蘆火(あしび)かな(11月22日)
勤労感謝の日暦なく無職かな(11月24日)
死者の夢暗澹たるや冬の雲(11月25日)
点滅の蛍光灯や木の葉髪(11月25日)
休日の図書館帰り紅葉(もみじ)かな(11月26日)
青写真サムライブルー砂まみれ
つぶやきも愚痴と消えゆく冬の月(11月27日)
寒雷やテキヤ多くて黙市(だんまりいち)(11月28日)
振り向けばイチョウ黄葉(もみじ)や風の舞い(11月29日)
通学路紅葉(もみじ)を拾ひ栞かな(11月30日)
俳句自選五句
詩
詩「森永LOVE物語」(11月13日)
詩「森永愛物語」から会話膨らまし
詩ー広場(Twitterの思い出)ー