『雲は美しいか: 和歌と追想の力学 』渡部 泰明(29;29) (ブックレット〈書物をひらく〉 29)
和歌に詠まれた雲の歌を時代的に探りながら、雲が象徴していたものや日本人の美意識について考える本。最近、ボケっと雲を見ていることが多いので、ちょっと面白そうな本があったので手にしてみました。
『万葉集』では妻や恋人との別れ(死別も含む)、歌人が別れた人と同じ雲を見ている。
平安になると神の通い道や中国の神話『高唐賦』の影響で雲は姫の化身というような。「浦島子(姫)」伝説。
煙は隠すもの、荼毘する煙と同一視して、亡き者を追想する歌へ。亡き者を追想する歌へ。『源氏物語 葵』。
『源氏物語』に影響を与えた和泉式部の和歌
『源氏物語 夕顔』の光源氏の追悼歌
『新古今』以降になると幽玄の世界。夏の雲を眺め、遠い世界を想う。
また定家の「幽玄体」という雨雲の書体が出てくる。