お膳立てが出来てやっと結婚する夕霧の巻
『源氏物語 33 藤のうら葉』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版)
もう前半が終わったのかと思ったらここまでが前半のようだった。それも夕霧がぐずぐずしていたせいだった。やっと夕霧と雲居雁が結婚するのだが、あっさり行かない。それは当事者よりも親の意向が大きく左右するからだった。
夕霧と内大臣とのわだかまりを解決しなければならないのは、通い婚だからか。二人で独立すればそういうこともないのだが親の家に通っていくのだから建前上歓迎されるようにしなければならない。それで夕霧よりも内大臣が折れた(和解を望んだ)ということで決着が着く。光源氏が面目が立ったと褒めるのだが、夕霧も一人前になったということなのだろう。そこまで親の影響力がある時代だったのも子供にとっては大変な時代だったのだ。
「藤のうら葉」とタイトルとなった歌は、内大臣の頭中将(柏木)に託した夕霧への手紙から(藤の苑の誘い)
ここまでが前半で、この後から後半に成る展開なのは明石の姫君の入内があり。生みの母である明石の君が後見役として宮廷内に入るのだ(ただ藤壺の君が苦労したように身分の違いで苦労する)。そして、光源氏も准太上天皇(じゅんだじょうてんのう)になるのだから、ここが頂点として見ていいのだろうか?確執だった内大臣との仲も解決したようだし、もう引退するしかないのか?