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五行詩は短詩だけど俳句や短歌に比べて規則もないのでもっとも作りやすい詩かもしれない。目指せ五行詩の芭蕉? 五行詩だけでなく他の多行詩も加えました。
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2023年9月の記事一覧

月の詩2

新月

十五夜ににわかツクヨミが申すには
月が出ないのに新月という闇の世界があるのだと
闇から始まる夜から一五夜
闇夜がなければ月も出ない
太陽だけが燦燦と耀く

図書館

図書館

図書館

桜並木の川沿いを
自転車で飛ばして5分
登り坂を10分で駅の図書館
学校が終わると今日も
赤い自転車が止めてあった

紙



ペーパーレスという流れ
トイレの紙様は必要だ
ウォシュレットは気持ちいいけど
トイレの壁には
紙に見放されたときは自分でうんをつかめと

カフカ論 詩

カフカ論 詩

可か不可か
城の前でも審判でも掟の門前でも
カフカは問う
可か不可か
そのどちらにも組しない

エロス

エロス

芸術家はエロスを感じ凡人はエロを感ず
衆人はエロスをエロと思えどエロスと思え
個人になったとき密かにエロに憑かれて
そこをぐっと抑えてエロスだと信じて
芸術家になるともれなくエロが付いてくる

悪



次から次へと悪ばかり
もうそこは僕たちの世界ではなく
神を殺して無責任に遁走したニーチェさん
ここは悪の世界だった
ツァラトゥストラはかく騙りき

神



神という言葉がある限り、神頼み
無神論でやってきたけど、都合良く
つい神頼みをしてしまうのだ、パチパチ
宝くじを買ったときとか、神は紙に
そして神屑になっていく

リアリズム

リアリズム

リアリズム

リアリズムのやどかりは
仮の家を背負って
引き籠もっている
それはもう
リアリズムではないよね

風



向かい風なら進もう
追い風なら立ち止まろう
火が消える前に
燃料が必要か
そろそろ燃料切れ

戦争(詩)

戦争(詩)

戦争

ぼくらは戦争孤児なのかもしれない
父が語る戦争
母が語る戦争
あいつらが語る戦争
ぼくらが語れない戦争

もう五行詩を強調することはないな。五行詩に拘るとそれ以上書けなくなるから。

死(五行詩)

死(五行詩)



死者は他者である
人は自分の死を
他者によって知る
詩は他者を呼び覚ます
そのための詩

詩(五行詩)

詩(五行詩)

詩の向こうに死がある
それまでの旅
五行で言葉を
拾つていく

雨(五行詩)

雨(五行詩)

「雨の詩」は一回作ったと思うのだが、上書き削除してしまったのでもう一度。詩だとわかっているのだから「~の詩」はもういらないな。今回はニーナ・シモンのアンサー五行詩。