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だれかと共に過ごすということ。小原晩さん「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」を読んで
2年前、自費出版であったときに
書店で手にとったけれども
買わずじまいであった本
それから、ネットやら書店やらでも
目にする機会が増え
「あのとき迎え入れておけば良かった…!」と
後悔し、ついに手にすることができた。
購入した際も、近所の書店でラス1であり
店主さんも「この本、人気なんですよね。僕も読んだけど面白かったですよ。また発注しなきゃ」と口にしていた。
これは美容師をしていた小原さんの
東京や京都などで過ごした日々の生活をまとめたエッセイ。
小原さんの日々は私たちと同じようでありながら
いろんなことが起きている。
若気の至りと言える失敗や東京の自由さを一緒に感じられるようで、読んでいて楽しかった。
そして、彼女の行動力がすごい。
エッセイ内で多くは語られていなかったが
·ひと月だけ週1でカレー屋さんを営んだことがある
·自費出版の本を自らメールで置いてほしい書店に連絡した
などとあり、なかなか勇気が無いとできないことをしている方なんだと驚いた。
私が好きな一節
誰かと一緒に暮らすということは、スターバックスでバタースコッチドーナツを頼んだけれど、店員さんがトレーにのせたのはシュガードーナツで、でもシュガードーナツも美味しいのでこのままでも良くて、しかしお会計はバタースコッチドーナツの金額になっていて、でもこれは友達がくれたスターバックスのフードチケットで買ったものなのでお会計金額はそんなに関係なくて…
みたいなほんとうにどうでもいいことを、
別にいいんだけど一応誰かに話しておきたいことを、家に帰ってすぐに話せるということです。
幡ヶ谷の3人暮らし より抜粋
この文を読んでいて、私の生活を振り返る。
大学生から結婚するまでの間
約10年近く一人暮らしをしていた。
だからか、自分の空間を家族以外の誰かと共有するのは不安でしか無く
いくら仲が良い友人とはいえ、イライラしてしまって関係にヒビが入る光景が目に浮かんでいた。
夫と生活を共にするときも、不安でいっぱいだった。
だけども住んでしまったら
もう一人で過ごしていた日々に戻れない、と思っている。
一緒にご飯を食べながら
今日あった出来ごとを話す。
仕事でやらかして
おそらく一人だったら、夜に眠れなくなるくらいの憂鬱な出来ごとも
話して夫が笑ってくれたら、すぐに忘れられる
とりあえず人に話すことって
生きる上で必要なことなんだと実感できたし
どうでも良い話ができる関係って素敵だと思う。
この本を読んで、改めてそれに気づくことができた。