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物語たち

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かこのnoteの物語たちを集めました。 心をこめて書きました。 読んでいただけたら嬉しいです。
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#短編小説

夜が怖くて、明かりの中を彷徨っていた私を救ってくれるのは、暗闇なのかもしれない

*このお話はフィクションです。 「ねえ、お願いだから、電気、消さないで」 ずっと、夜が嫌…

前向きの前が、わからなくなってしまった時は

「もう、逃げたい。なにもかも、もう嫌だ」 目の前の少女の声に、昔の私が重なっていた。 「で…

真剣な場所で、「好き」に気づいてしまったら

どうしよう。好き、かもしれない。 こんなところで、どうしてこんな気持ちに気がついてしまっ…

いつもの電車に疑問が湧いたら、それは、「駆け出し下車」の合図なのかもしれない

「ドアが閉まりまーす。ご注意ください」 このドアは、いったい何回閉まったんだろう。6時4…

夢が途切れた時に見えるのは、本当になりたかった私、なのかもしれない

「この学校には、吹奏楽部、ないんだよ」 なんのためらいもなく、新しい学校の先生は言った。…

失恋の美味しい食べ終わり方

「振られちゃった……」 口の中でもごもごと、振られちゃったを繰り返している。もう2週間も…

「ていねいな暮らし」は、おしゃれな紅茶がなくっても

「体と心を美しく! ていねいな暮らしをしよう!」 はあ。とため息をついていた。どうして、雑誌コーナーなんかに来てしまったんだろう。一日働いたスーツはくだびれて、スカートは後ろがよれている。スーパーでお惣菜を買って、とっとと家でビールでも飲めばよかった。なのに私は、本屋の雑誌コーナーに来てしまった。 街の大型書店。おしゃれな人が集まっている。明るい店内。真新しい雑誌の表紙は、バリッとしていて、気持ちがいい。 普段ならそう感じるはずなのに、 ふと自分の姿を思い出すと、その場に

一夜遊びにはまった私のその後について

「あぁ、今日もつまらないキスをしちゃったな……」 おろしたてのヒールで、深夜0時の街を歩く…

伝えなかった告白を、この世界に残す方法って、あるのだろうか

耳の奥が、とくん、と鳴った。深夜11時30分。街中、駅前の交差点。南西の角の街路樹の下。少し…

君とキスをしたから、「王子様」なんて、粉々に砕いて、捨ててしまおうと思った

「どうしよう。キスって、やっぱり、怖い」 心の準備はしていたけど、今日も私は思ってしまっ…

火照った男の手に抱かれながら、思い出したのはラムネの味だった

「マスター、いつもの」 男はそう言って、おもむろにカウンターに座った。私もその隣に座る。…