【物語】味わうべき恋かを確かめることは、美味しい果物を選ぶことと似ている《夢芽の自由ノート》
私は、果物を買うのが、怖い。今日のりんごも、つやつやと鮮やかな赤をしていたのに、包丁を入れたら、中心が傷んでいた。冴えない、くすんだ、薄茶色。放っておいたら、どんどん広がって、りんごの身を蝕んでいく。柔らかな黄色を、染めていく。私は、この色が大嫌いだった。柔らかな黄色と薄茶色、どちらが本当なのかわからないこの感じが、気持ち悪かった。なのに、果物を買うたびに、はずれを引く。私は、包丁を入れて、その果物が傷んでいることを確かめるたびに、自分の運の無さを確認しているようで、虚しい気