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あの、たった一つ開いた窓

僕がここから出たのは
世界をとりいれるため
小石を
雑草を
街を
景色のすべてを
君を

かたくなさで塗り固められた
すべての窓
たったひとつ
三階の右の端
開いた窓が
たったひとつ
目薬を待つ瞼のように
たったひとつ

空気にまみれてしまうくらい小さな何か
例えば羽虫
いないのとなにも変わらない
あのたったひとつ開いた窓から
君の内部へ侵入する

あのたったひとつ開いた窓に向かって
僕のリズムが溢れ出す
紙と鉛筆で書き留めた何か
例えば言葉
ないのとなにも変わらない

ダンゴ虫が一生かけて蠢くその果てしなさを
僕はたった一歩で追い越して
きみらの創れない未来へ
舗装された道路をかみ砕いてでも
ほんとうの土地にたどりつく
そこがここと何もかもいっしょでも

夕焼けにまみれてしまうくらい小さな何か
僕の赤い肌
いないのとなにも変わらない

空白とほとんど変わらない


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