(詩)ピーマンとネギ
たくわんの音
茶碗の音
味噌汁の湯気
忙しく動く箸
頬張るほっぺた
「残さずにたべなさい
これも食べなさい」
自分のおかずを
子供たちの皿に
分ける母親
姉とのおかずの
とりあいで
ぶつかり合う
箸の音
「ごちそうさま」
食器を洗う
水道の音を
お笑い番組の
歓声が
かき消してゆく
TVなんか
なければ
良かったんだ
反抗期なんか
なければいいのに
きっと
元気にもりもり
食べる
子供たちを見て
ひとりで
笑っていたんだろうな
明日の辛さや
悩みも
吹き飛ばして
いたんだろう
ありきたりな
日常が
こんなに美しい
夢のような
思い出になるなんて
神様もいじわるだな
もっと
毎日
ちゃんと
「おいしい」て
いっておけば
良かった
ピーマンとネギも
残さずに
きれいに
食べておけばよかった