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新作落語台本発表会・Mさんおめでとう
Mさんという落語台本作家仲間がいます。私よりずっとずっと先輩の方で、落語協会の新作落語台本募集がスタートした直後から応募を続けているベテランの方です。代表作は柳家小ゑん師匠がよく寄席でかけておられる『吉田課長』という作品。CDにもなっていますし、十数年経っても古びない強固な構造を持った名作です。
私がMさんと知り合ったのはツイッターを通じてでした。Mさんは「『吉田課長』を楽しんでいただいてるお客様にお礼が言いたい」という気持ちで発信を始められたそうです。そのアカウントを私が見つけて交流が始まりました。
そして『吉田課長』以降に何度か二次選考に残りつつも入選を逃していたMさんと、さっぱり二次選考にも引っかからない私・青乃家の「なんとかして入選したい」という気持ちが合致いたしまして、「いつかお互いに応募前の作品を見せあって批評しよう」と約束していました。
三遊亭円丈師匠も「台本は誰かに見てもらえ」「感想を聞け」と著書で書いておられます。同じ志を持つ者を見つけにくい落語台本というジャンルの中で、そういう出会いがあったことは幸運だったと言えるでしょう。
そして遂に、今年お互いの応募前台本を読み合う機会を得ました。
そうです。そうなのです。
今年の新作落語台本発表落語会において披露された『タトゥーに込めた愛』…実は応募前に私は読ませていただいてたのです!
Mさんはとても向上心のある方でして、「感想はとても厳しく、激辛でお願いします!」と常々言っておられます。それは私を信頼してくれている証明でもありますから、遠慮なくお互いに厳しい批評を交わしました。
『タトゥーに込めた愛』はMさんらしい素晴らしいくすぐりと爆笑の展開に満ちた内容だったのですが、あえて「厳し目」に見た結果、私が気になった点はただ一つ。
タトゥー(入れ墨)ネタは引かれるのではないか?
というものでした。これはネタの根幹に関わるものなので、ここを選考委員の師匠方に嫌われると、まずいのではないか、とお伝えしました。
そして10月の選考結果発表。
Mさんの『タトゥーに込めた愛』見事に入選!
しかも、金原亭世之介師匠や林家時蔵師匠のブログによると、二次選考をぶっちぎりの一位で突破、大ウケをかっさらう結果となりました。
嗚呼、自分が恥ずかしい…(;´Д`)
というか、もし、もしも、Mさんが「青乃家さんに引かれるかもと言われたから、これはボツにしようかな」と思ったりしたら、この名作が世に出ることを私が邪魔したことになってしまうところでした。
自分のセンスの無さが嫌になります _| ̄|○
けれども…入選決定後はMさんとお互いに喜び合いましたし、客観的な視点はどんなものでも有用ですし、最後は自分の判断ですし、「お互いの作品の感想を言い合う、批評によって完成度を高める」という行為そのものは、役に立ったと信じます!
自分のセンスがどうにもズレていることの反省は、長くなったので別記事で詳しく書こうと思います。
とにかくMさん、おめでとうございます!
新作落語台本発表落語会(最終選考会)の結果は、佳作だったそうです。まだまだ、上を目指せますね。私もいつか入選することを目指して、諦めずに頑張ります!