食物アレルギーがある大学生のリアルな日常:チョコレート編
*6年前に執筆した記事です。推敲して再度投稿しています。
僕にはたくさんの食物アレルギーがある。
乳・卵・ナッツ類・そば・栗…
簡単に調べられるアレルゲン(アレルギーを起こすもの)の種類は限られていて、まだまだ他にもあるかもしれない。
実はこれでも減った方で、昔は鯛やゴマなどもダメだった。
アレルゲンがほんの少しでも含まれた食べ物を間違って食べてしまうとすぐに症状がでるので、食事をするときには飲み薬と注射を手の届くところに用意しておく必要がある。
昨日もアレルギーで危ない思いをした。
普通のチョコレートにはミルク(乳成分)が含まれていて、僕には食べられない。ものによってはナッツも入っているようだ。
しかし全く甘くないビターチョコレートの中にはミルクが入っていないものもある。
とはいえ、そもそも僕はカカオにアレルギーがあるようなないような微妙な感じなので、この日は原材料的に乳成分やナッツの入っていない、「食べられる」チョコレートを食べることにした。
結果、この日に家で食べたチョコレートはダメだった。
ミルクもナッツも入っていないはずなのに…
チョコレートのブロックの半分を噛み砕いて飲み込んだ瞬間、ほんの数十秒で症状が出始めた。
まず、舌が痒くなる。
次に喉。
続いて喉が締め付けられるような感覚になり、呼吸がゼェゼェと言い始めた。
喉が腫れて気道が締め付けられている。
ここまでくると呼吸困難になり命に関わってくるリスクもあるので一気に焦りがこみ上げてくる。
食べてこの状況までほんの2、3分のできごとだ。
急いで大学用のカバンをひっくり返し、中にあったセレスタミンという頓服薬を飲む。
それでも薬の効き目が出てくるまでに症状が進行していく。
万が一に備えて注射を目の前においてじっとする。
アレルギー症状は運動をすると悪化すると言われているからだ。
なんでもない日に、チョコレートを食べただけで一気にピンチになるこの感じがアレルギーだな〜なんて考えながら、じっと自分の体調を観察する。
運が良いことにここで母が帰宅した。
万が一、自分が意識を失ったりした場合でも対応してくれる人が近くにいると安心感が違う。
幸いにもこの日は救急搬送もされず、病院にも行かなかった。
喉が締まり始めた時はドキッとしたが、僕にとってはこんなことも日常の一部なので変に落ち着いていた。
重めのアレルギー反応が出た後は腹痛がやってくる。
僕の場合、この腹痛がアレルギー反応が終わりかけているサインだ。
腹痛と言っても普段の腹痛と違って、全身でアレルゲンを絞り出そうとしているような激痛である。
そんなこんなで僕の体の中で起きていた免疫戦争は終結を迎えた。
アレルギーの後の倦怠感とセレスタミンの副作用である眠気が相まって、この日はそのまま寝てしまった。
もしあのとき、
僕が一口ではなくもっと一気に食べてしまっていたら。
僕が薬を見つけられなかったら。
母がタイミングよく帰宅しなかったら。
何が起きてもおかしくない状況だったと思うと、少しゾッとした。
これが昨日食べたチョコレートの原材料だ。
書かれている中では原材料に乳製品は入っていない。
製造ラインでのコンタミネーションなのか、実は入っているのか、それともカカオにアレルギーがあるのか。
結局わからないままだ。
ちなみに、僕はこのチョコレートのメーカーを非難するつもりは全くない。
食物アレルギーは人によって反応する食べ物も程度も違うため、最終的には自己防衛しかないと考えている。
少なくとも、「自己防衛」というスタンスを取るほうがみんなハッピーだと思うのだ。
この考えについてはまた別の機会に語ろうと思う。
わかっていても、避けていても、頻繁にこういうことが起きる。
それが食物アレルギーだ。
僕は今22歳だが、この年齢まで生きていることが奇跡のように思える。
僕をここまで育ててくれた母の苦労が歳をとるにつれわかるようになった。