見出し画像

「サーカスのゾウ」のところが刺さったよ【随筆】小澤亜希子『退職代行』

2019年の本、これ ↓

弁護士の先生が書いた本。
彼女が「退職代行サービス」を始めたのには、なかなか重たい背景がある。

また、最初に断っておくが、本書は、
「退職のすすめ」ではない。まして「退職代行利用のすすめ」でもない。

と、本書の後半部ラスト20ページくらい、最後の第5章「幸せになる生き方」は、ほんとに畳みかけるようによかった。もうこの部分では退職代行うんぬんの話なんてしていない。ただ、飾らずに、自身の経験から言えることを、熱い想いで綴っている。ここは打たれた。

彼女はね、弁護士になって忙しく働いてた。完全にワーカホリックだった。残業も、土日出勤も苦じゃなかった。楽しかった。
それを、実家で家族に、いかに弁護士の仕事が忙しくて充実しているかについて、意気揚々と自慢するんだ。

彼女には、弟がいた。

いた、もう死んだけど。ある朝、死んでいた。目を覚ますことはなかった。

彼は、仕事を辞めたかった。
でも、
辞めることができなかった。

大学を卒業して、
入社後、わずか半年でのことだった。

「退職代行サービス」って少し前ニュースで流行ったよね。でも、あなたはどんなイメージをもっていますか?

退職代行サービスを使うなんて、
ヘタレですか?
社会人にもなって、情けない。ですか?

でも、たとえば弟だけど、
彼は、たかが仕事のせいで、死んだ。

たかが、仕事のせいで、だよ。
たぶん、いや絶対、仕事を辞めていたら、
まだ生きている。そうにちがいない。

私は悔しい。
私は恥ずかしい。あんなにも仕事の話を自慢げにして。馬鹿みたいだ。

辞めないことより、
生き続けることが大事

そんな気づきがあって、私は「退職代行」事業をはじめた。ニュースになっているのは、弁護士資格ももっていない方(非弁業者)が行っているものが大半でした。私は、ちがいます。このサービスは弁護士こそがする仕事だ。

あとは色んな事例紹介から彼女が語る訓戒のようなものと、自身の経験から語る実態のところ。
付箋はちょっとだけ貼った。紹介する。

・「サーカスのゾウ」という話
→サーカス団で飼われているゾウは、幼い頃から鎖で繋がれています。幼い頃は力が弱いので、何度鎖を切ろうとしても、切ることができない。そのうちに体が大きくなって、鎖を切る力が備わっても、鎖を切って逃げようとしない。なぜなら、幼い頃からの刷り込みにより、「どうせ逃げられない」と思い込んでいるからなのです。

これ、分かる! 
僕も前職で、それに近い感覚、確実にあった。サービス残業って、もう感覚バグってくるからね汗
というか、いま話題の「ビックモーター」にも近いのかもね!
どこかでマヒっていたのかもしれない。でも勘違いしないで!
悪いのは君じゃない。会社なんだよ!

・「私がいなくても会社は回る」という実感
彼女がバリバリ働いている時の話だ。妊婦さんだったんだが、突然、絶対安静だと診断を受けた。さあ、まいった。まいった。
でもね、個人事業主である彼女でさえ、同じ事務所の弁護士やスタッフに協力してもらって、なんとかなったわけ。彼女にもプライドがあった。それだけにある意味ショックでもあった。でもね、それが事実なんだ。
このことは、組織が大きくなればなるだけ言えることだよ。

言いたいことはひとつだけ。
「大丈夫、君がそんなに抱え込まなくてもいい。なんとかなるさ。」


そして第5章。

「日々の幸せ」を軸にする

仕事は、人生の一部にしか過ぎません。

自分の幸せは、
自分の頭で考える

たとえばドラマでもいい。僕も今期は2つのドラマを見ているし、楽しみにしている。僕の場合は「小説」というのが軸にあるけど、たとえばドラマ。

スナック菓子を食べながら、録り溜めたドラマをゆっくり見るのが大好きで、それが1番幸せなんだ。

なのに、激務でそんな時間をつくれない。時間はつくれてもクタクタでダメだ。なら、間違っていないかい?

「思う存分ドラマを見たいから、今の仕事を辞める」これは、ひとつの正解だよ。これを、笑うのは、ある意味、可哀そうなヒト。

お金だけが全てじゃない。
仕事はそんなに偉くない。

たかが、仕事だよ。
それで、死んだらダメだよ。

「今とは違う道を選んで、後悔するのが怖い」と感じるかもしれません。

でもね、
生きている間の失敗なんて、死んでしまうことに比べたら、どうということはありません。死は不可逆です、死んでしまった人は絶対にどうやっても戻ってきませんが、生きている間の失敗は、大概取り戻せます。

イエス。アントニオ猪木さん。
「元気があれば、なんでもできる」
この言葉は、深いよ。全てだ。


とか書いても、「俺、私、無趣味なんだよ」これは、難しい問題だよね。

まずは小さな幸せを

さいごに、
ちょっと辛辣なことを言って〆る。

嫌で嫌で仕方がない会社に居続けることこそ、どうしたらよりよい人生になるのか考えることから「逃げている」のではないかと思うよ。

楽しく、生きろ!

最後まで読んでくれてありがとうございます。
「スキ」や「フォロー」もしてくれると、
なお嬉しいです。よろしくお願いします♪♪
また次の記事も読んでくれたら嬉しい(過去記事も)。それではまた明日!

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集