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掌編小説

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原稿用紙1枚分くらいの物語
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#小説

自意識過剰

夏の午後の日差しが電車の窓越しにちらつく。 山手線の窓ガラスがUVカット仕様なのは流石と言…

アオミネ
1年前
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夏の終わり

陸橋の上から眺めた上弦の月は雲一つない夜空で存在感をはなっていた。 すれ違う法定速度違反…

アオミネ
1年前
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日常的にリスクをとる瞬間

乗り換え駅で降車して、次の電車に乗るためには駅のホームを移動しなければいけない。 階段は…

アオミネ
1年前
2

危機的状況

久々の休日。 ショッピングモール内のフードコートで昼を済ませたあと、1つ階を上がったとこ…

アオミネ
1年前
4

雨の匂い

降り始める前から気配を感じる。 もわっとした湿気を含んだ生暖かい空気が鼻を刺激する。 雨…

アオミネ
1年前
3

すいか1/6

今日は喉が渇いていた。 ペットボトルの麦茶をちょうど飲み終わって10分くらいで家の最寄駅に…

アオミネ
1年前
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セミファイナル

夏のお出かけは戦地に赴く兵士の心持ちでいかなければならない。 予定の1時間前に起床すると、1時間後にはまた汗だくになるという事実に目を背け、シャワーで就寝時間の汗を洗い流した。 家を出る前に冷蔵庫でキンキンに冷えた麦茶を飲み、日除けのバケットハットを深く被る。 よしと心の中で一呼吸おくと、内鍵のサムターンを回し、ドアノブを捻った。 途端にうだるような暑い空気がドアの隙間から流れ込む。ああ、やっぱり暑い。 灼熱の太陽のもとへ自分が馳せ参じなければいけない日中のスケジュ