30日間スケッチをし続けてみたら、もはやセラピーだった話。
私がこのブログをつくるきっかけとなった『30日間スケッチ』について
いくつかの記事に分けながら、ゆっくりと書いてみたいと思います。
今回は、それをするに至ったきっかけと
自分で定めた5つのルールについてまとめてみました。
よろしければお付き合いください。
◇きっかけ
今年の春から夏のはじめ頃にかけて
元々持っていた持病のこと、人間関係など
色々なことが重なってしまい
私は心身共に、とても疲れていました。
またその頃、心身の落ち込みを理由に
大好きだった場所や人からも遠ざかっていたために
なんだか行き場のない停滞感が私を取り巻いていた気がする。
もしかしたら無意識に
その暗くて重たい流れを、何かで打破したかったのかもしれない。
日々を送る中で少しずつ気持ちが上向いてきた頃
たまたま見かけた海外のお絵描き系Youtuberさんの動画をきっかけに
「なんでもいいから、毎日絵を描いてみよう」
と思い立ちました。
絵は元々趣味で描いていましたが
その頃はすっかりその体力も気力も失せてしまっていて
しばらくペンや筆にも触れていなかったんです。
だから、もしかしたら
「これがリハビリや、何かのきっかけになったら…」なんていう
うっすらとした期待もあったのかもしれない。
◇5つのルール
これを始めるにあたって、私は5つのルールを設けました。
特別な画材は使わない
何を描いてもいい
下書きをしない
なかったことにしない
誰にも見せない
これらの最低限のルールは
完璧主義と白黒思考が強く、と同時に
見栄っ張りで頭でっかちとなっていた私に、とても有効だったと思う。
なぜなら、この『30日間スケッチ』の目的は
絵の技術の向上や、素晴らしい作品を描きあげるためではなく
『毎日、絵を描き続けること』
だったから、続けられるルールでなくては意味がなかった。
実際、これらのルールは良いガイドラインとなってくれて
余計なことに気を取られることなく
ただ毎日気軽にペンを手に取る、ということを可能にしてくれたと思う。
1:特別な画材は使わない
私が選んだのは、元々持っていた筆ペンや細いミリペン、ボールペン。
そして途中まで使って放置していた薄いノート。
彩色に関しては、最初のうちはマーカーペンや色鉛筆を使用していましたが
そのうち水彩絵の具で色をつけるようになっていきました。
いずれも、比較的どんな文房具やさんにでも売っている安価なものです。
私の場合、何かを始めるにあたり息巻いて良い道具を揃えても
今度は「折角良い道具を揃えたんだから続けなきゃ…」
ということがプレッシャーになることが多いので
なんでもない普通の道具を使うことで、心の敷居を低く設定しました。
2:何を描いてもいい
描きたいモチーフが見つからないなら
日常使いしているコップを毎日描き続けたって構わない、としました。
これは、モチーフ選びで自分が疲れてしまわないためのルール。
毎日同じものを描いたっていい。
なぜなら、毎日同じものを選んで描こうと
私が生身の人間で、この手を使って描く以上
『全く同じように描ける日は、1日だってない』から。
何を描こうと、どれもがその時の自分にしか描けないものです。
これは、続けていく中で私自身が実感したことの1つで
とても有効なルールだったな、と今も感じています。
3:下書きをしない
これは、良いものを描こう、上手く描こうとして
自分ががんじがらめになってしまわないように必要なルールでした。
下書きなしということは、毎回出たとこ一発勝負。
最初のうちはそれ自体が少しプレッシャーであり
実際、日によってはなんとも不格好になることも多々ありました。
単純に観察力や画力不足、集中できなかった、やる気がなかった…など
理由は色々あるかと思います。
もしこれが、下書きありとして修正もし放題だった場合
もう少しくらいは見栄えのする仕上がりになっていたかもしれない。
だけど、融通の効かない私の中の完璧主義者が邪魔をして
そのうち
『良いものを描こう』『上手くやろう』とすることに疲れ果て
とてもじゃないけど、毎日なんて描き続けることはできなかったと思う。
4:なかったことにしない
「失敗した」
「上手く描けなかった」
「なんか変…」
そういう時、塗りつぶしたり
破ったりしてなかったことにしたくなるけれど
「今回は"こう"だったんだな」と
その都度受け入れるようにしました。
繰り返しになりますが、これは
『素晴らしい作品を描きあげるため』に
描いているわけではないからです。
もしこれが作品づくりが目的であるなら、納得いくまで取り組む…
ということもできるかもしれない。
でも、その熱量で毎日続けていくのは正直大変。
日によって気分も体調も、集中力の度合いも全然違うんだから。
だからこそ
気持ちよく決まらなかった迷いだらけの線も
とっちらかった配色も
とにかく「今回はこれでよし」とその度、受け止めていくと決めました。
5:誰にも見せない
誰かの反応をもらえるのは嬉しい。
本当にありがたいことです。
それが次へのやる気に繋がることもある。
だけど、メンタルが落ちている時は
誰かの反応のあるなしに一喜一憂してしまうこと自体が
当時の私にとってはストレスだった。
「気にしないようにしよう」と思っていたって
気になってしまうのがまた人の心というものなので…
なのでいっそ『誰にも見せない』と決めました。
そのノートは、自分のためだけの場所であり
そのノートに向かっている時間は、自分のためだけの時間だったんです。
スケッチを続ける中で、少しずつ気持ちが上向いてきてからは
このルールは次第にあやふやとなり
「見せたければ見せてもいい」というゆるいものに変わっていった。
ですが
始めてすぐの頃は、余計なプレッシャーを自分にかけないために
とても有効な決めごとだったと思う。
◇30日間スケッチは、もはやセラピーだった
今振り返っても
『30日間、ただ描き続ける』
その過程の中で感じる1つ1つが
その時の自分の心に必要なものばかりだったと思います。
淡々とスケッチを続ける中で
始める前に予想、期待していたよりも多くの発見や学びがあり
自然と、自分の内面の探求と理解を深めていくことになった気がする。
言葉にするとどこか陳腐になってしまいますが
絵を描き続けた30日間はまるで
長い時間をかけてゆっくりと、あの時の自分自身を癒していく作業だった。
そう思います。
記事のタイトルを「もはやセラピーだった」としたのはそのためです。
その発見や学びの1つ1つに関しては、自分自身の振り返りを兼ねて
追々、じっくり語っていけたらと思っています。
読んでくれてありがとう。