上質なエンタメだけど…… | 映画「密輸1970」感想
毎週毎週気になる映画の評判はチェックしてるんだけど、この映画ネット上の感想がかなり良かったんだよね。だから、とりあえず見ようと思ってた。だけど上映時間の関係や自分のスケジュールの兼ね合いでここまで見れてなかった。宇多丸のレビューもリスナーも絶賛だったから、もうハードル上げまくって劇場に突撃したんだよね。
あらすじ
感想
良い映画だった。上質なエンターテイメントとしか言えない。娯楽として優秀だよね。今年見た梟もそうだったけど、韓国映画ってレベル高いから評判のいい映画は安心して見れるね。軍曹の見せ場のアクションも半端なかったし、最終的に海女を活かしたアクションで勝利するのもいいし、なぜか出てくるサメもなんかいい味になってたし、日本で言う昭和レトロな感じも良かったし、たくさん出てくる歌謡曲みたいな韓国の歌も誰の歌なんだか全然わかんないけど良かった。
すごくいい映画なのは間違いないんだけど、どうも刺さらなかったかな。「あー、いい映画だったな!」っていって数日もすれば忘れちゃう感じ。心にトゲを残さない感じがする。口当たりが良すぎるのかな。良すぎるあまり、すっと喉を通ってお腹を素通りしておしっこで出ちゃう感じ。そういう映画もいいんだけどね。
ジャジャジャジャーンの謎
日本でもとっておきのものを披露する時にセルフ効果音として「ジャジャジャジャーン」って言うと思う。この映画でもいいお酒を披露する場面で「ジャジャジャジャーン」が出る。韓国語なのに問題なく聞き取れる。これって何語なんだろう? 英語とかが発祥なんだろうか。調べればわかりそうだけどあえて調べるのはやめるの巻。
名前がなんか頭に残らない
梟でも同じようなこと書いてたけど、ボクはカタカナの名前覚えるのが苦手なんだろうか。この映画に出てくる主要な人たちの名前って似たような名前ってないんだけど、何故か頭に入らなかった。アジア系だから顔は見ればだいたい見分けはつく。なんかね、小さい「ゃゅょ」の入った名前が多用されるからなんか見慣れなくて覚えられないのかもね。地元チンピラボスの「ドリ」はすごい覚えやすくてよかったな。
対立の構造がわかりにくい
登場する勢力は、海女、密輸王、地元のチンピラ、税関の4つ出てくる。ここに昔の海女仲間のチュンジャと妹のオップンが誰の味方なのか分かりづらい宙ぶらりんな感じで存在している。
税関は最初から最後まで敵という分かりやすいポジション。だけど、公的機関だから無法的な殺人などはしない(と思われている)。
主人公である海女たちは、裏切り者(と思っている)チュンジャとは対立していて、地元のチンピラには緩やかな共存関係で、税関とはもちろん対立している(密輸する時は)。
密輸王の軍曹は登場のインパクトが強すぎて、いつ誰の敵になるのかわからない怖さがあった。存在感があるよね。最初はチュンジャやチンピラとは協力関係ではあるけど、どうなるのか不透明な感じはあった。最終的にそうなるんかーってのは少し予想外だった。
地元のチンピラはなんか数が少ない時はパッとしない弱そうな奴らなんだけど、数を集めだした後は流石に凶悪な感じになるね。海女に仕事をさせる協力関係で、チュンジャが持ってきた密輸王の仕事にも飛びつく。
で、彼らの関係や対立構造は流動的で、話が進むと変わっていって、ストーリーの後半でようやく最終的に誰を倒すのか確定する。それがちょっとテンポを悪くしているのかもしれないと思った。
前半多少かったるい
後半に向けたストーリー的な準備が多いのかな。誰かが移動して誰かと話してストーリーが進んでいく感じが多い。見せ場になるシーンが後半に固まってるから、後半からは一気にテンションが上がる。そこはいい。だけど、前半はやっぱりちょっとテンポが遅い感じがする。無駄なシーンはないんだけどね。前半にもちょっとしたアクションシーンがあればよかったのかも。
アクションシーンは最高
さすが韓国映画って感じだよね。軍曹と用心棒の2人対多数のキレッキレの格闘シーン見惚れちゃうよね。最高の見せ場なんだけど、あそこしかないからもっとちょうだい!ってなる。前半にあの2人の強さを見せてくれるようなシーンが欲しかったなあ。
最終局面の海の中の対決も、力はないけど海の中では男より強いって感じがよく出ていた。その部分は良かったんだけど、海の中だから誰が誰だかわかんないのが欠点だったかな。
おわりに
スカッとした終わり方だし、エンタメに徹していて胸糞悪くなることもないし、善人なんて登場しないし、誰かが痛い目を見てもそんなに心が痛まない。ぐだぐだ書いてきたけど、正直文句がないレベルの高水準な娯楽映画だったよね。
万人におすすめできると思う。