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2024年に読んだ本
年の瀬になったので今年読んだ本をまとめてみようと思います。
2024年に完読した本(時系列順)
・森博嗣『すべてがFになるーThe perfect insider』講談社文庫(1998)
友人からの紹介で久しぶりに森博嗣の作品を読みました。スカイ・クロラシリーズとこの『すべてがFになる』どちらも、人の感情ではなく、ただ在ることの切なさが根底にあるような気がしています。オブジェクト指向存在論の観点から記事を書き、24年初の投稿となりました。
・森岡毅『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』角川書店(2016)
後からまとめでも書きますが、今年はビシネス関係の本をいつもより多く読みました。会社の先輩から勧めてもらい読んだ一冊です。「『玉虫色』な妥協案」がなぜダメか?ということに触れられているのですが、News Picksの落合陽一さんと先崎彰容さんの対談を思い出しました。
・太宰治『斜陽』新潮文庫(2003)
これも知人きっかけで、久しぶりに太宰を読みました。太宰の小説は単純に面白くないと感じていました。しかし、しっかり読むと、登場人物たちの生々しすぎる人間関係が、心に重しを置かれているような感覚になり、自然と本を閉じてしまうということが起きていることに気づき、新たな発見でした。友人の結婚式の直前にカフェで読み切ったのも思い出です。
・朱喜哲『ローティ 偶然性・アイロニー・連帯』NHKテキスト(2024)
タイトルがよくジャケ買い(?)しました。内容は最高で、あらゆる訂正可能性に開かれた「ファイナル・ボキャブラリー」という概念、本質主義に対する、リベラルアイロニストという立場など、「確かにそうだよな」と心にスッと入ってくるかたちで書かれていました。青山ブックセンターでのイベントに参加し、朱さんの人柄の良さも感じることができました。
・渡邉康太郎『CONTEXT DESIGN』Takram(2020)
普段、PodcastのTakram Radioや超相対性理論で話を聞いている渡邉さんの著書を読むことができました。同じことを話している、行っているようで、実は少しづつズレている。誤読している。そのような状態をビジネスでどのように実行していくか?という問いは、この本のおかげで今も持っています。
・『史上最強のNMAT・JMATよくでる問題集』大人塾(2019)電子版
ここからの3冊は問題集です。会社での昇格試験ではテストが課されているため、合格するためにかなりの時間を勉強に費やしました。数学はとても苦手なので、非常に骨が折れましたが、久しぶりにちゃんと勉強ができて少し楽しかったです。
・『地方初級・国家一般職(高卒者)問題集 判断推理・資料解釈 第3版 (公務員試験)』TAC出版(2021)
・馬場敬之『初めから始める数学I 改訂9』マセマ出版(2021)
・近内悠太『世界は贈与でできているー資本主義の「すきま」を埋める倫理学』ニューズピックス(2020)
かなりの期間を勉強に費やしていたので、人文学書が読めなくなってしまうのではないかという危機感から、自分にとってのハイスピードで読み切りました。不合理な贈与(=アノマリー)が資本主義の隙間を埋めているという主張の中で登場する、認知症の母親が起こすの16時の徘徊という行動は「問題」なのか?実は贈与なのではないか?というリフレーミングに感動しました。重くはなく、心温まる本。
・若江漢字『ヨーゼフ・ボイスの足型』みすず書房
渋谷のGYREにて、ヨーゼフ・ボイス展が開かれており、せっかく観に行ったからにはということで読みました。芸術をすべての人に開く「社会彫刻」という概念や、明確な答えが存在しない問い(=アポリア)に対してどのような姿勢をで臨むべきなのか。心にボイスを飼うきっかけになりました。
・谷川嘉浩『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』ちくまプリマー新書(2024)
こちらもPodcast経由で知ったのをきっかけに読みました。教育関係の仕事に携わっているので、自分の取り組みが、子供達の可能性を潰してしまっているのではないか?と自問自答するために社用車の中に置いています。
・千葉雅也『センスの哲学』文藝春秋(2024)
普段仕事をしていると、どうしても合目的的な判断に偏ってしまいます。なぜ?どうして?何のため?など考えてしましますが、そうではく、そのもの自体の面白さをどのように受け取っていくか。合理性と芸術のシーソーの均衡を保つために忘れないようにしている感覚がどこかにあるはず。
・原研哉『低空飛行-この国のかたちへ』岩波書店(2022)
グローバル化の中で、日本の美意識や文化をどのように捉えていけばいいのか?そのの可能性とは何か?など、辺境にあることから発生する独自の価値をどのように認めていくのかが書かれています。かなり心を震わされた一冊なのですが、まだ旅行くらいでしか活かせそうにありません。2月に島根県に友人と旅行に行きます。楽しみ。
・江口亮介『住宅購入の思考法』ダイアモンド社(2024電子版)
2024年はなんと家を購入しました。引っ越しは3月ごろの予定です。物件の基本的な見方や、「こういう不動産営業あるある〜」というところも実際に体験しているように読むことができます。住宅ローンの支払い頑張ります。
・坪谷邦生『図解 人材マネジメント入門ー人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ』ディスカヴァー・トゥエンティワン(2020電子版)
勉強の成果があってか、無事昇格試験を通過し、チームをまとめる立場になれる役職になりました。まだ自分のチームはないのですが、「そういえば、人材育成とかチームの作り方とか学んだことがなかったな」と思い、色々読んでみました。
研修の講演者の方に「おすすめ書籍は?」と聞いてみたところ「各分野、最低10冊読んだら何となくわかるものだ」というマッチョな回答があったので、まず10冊目指しています。
・ダニエル・コイル『THE CULTURE CODEー最強のチームを作る方法』かんき出版(2018)
マシュマロ・タワーチャレンジ、ユナイテッド航空232便、ネイビーシールズ、ピクサーなど、様々な例が出てきて、純粋に読み物として面白い。仕事に活かしたい例がいくつもあるので早速実践しています。
・戸部良一/寺本義也/鎌田伸一/杉之尾工孝生/村井友秀/野中郁次郎『失敗の本質ー日本軍の組織論的研究』中央公論社(2024)
論文的な語り口で「読みにくいかな…」と思ったが、時系列で状況説明をしてからなぜ負けたのか?を分析してくれているため物語っぽく読めて意外とスラスラ読めます。
・中尾隆一郎『最高の結果を出すKPIマネジメント』フォレスト出版(2018)
仕事で考えなければいけないことが出てきたので、手に取って読みました。KPIのイロハがわかりやすく書かれてて勉強になりましたが、実践にどのように落とし込んでいくかは、これから試行錯誤しなきゃなと思います。
・小坂井敏晶『答えのない世界を生きる』祥伝社(2020)
「世界から答えが消え去った。『答えのない世界』とは近代のことである。」という一文からスタートする本。個人的には、マルクスの資本論のを想起しました。問いを持つという簡単そうで難しいことをいかにして持続するか?これは2025年の課題としたいと思います。
読み途中の本
・津田一郎、松岡正剛『初めて語られた科学と生命と言語の秘密』文春新書(2023)
難しい。文系には厳しいのか…。
・今福龍太『クレオール主義(増補版)』ちくま学芸文庫(2003)
読みたいが読むきっかけを見失っている。
・P.F.ドラッガー『マネジメント【エッセンシャル版】ー基本と原則』ダイヤモンド社(2010)
ビジネス書にしてはハード。こちらよりも『学習する組織』を優先して読むかも。
・萬屋博喜『SFマンガで倫理学ー何が善くて何が悪いのか』さくら舎(2024)
攻殻機動隊のところしか読んでいない。永井さんの『倫理とは何か』も完全に積読状態になってしまっている。
この本のおかげで、GHOST IN THE SHELLの考察の最後が書けた。
これが今年最後の記事になりました。攻殻機動隊好きの皆様、ぜひ読んでください…。
まとめ
2023年は哲学の年でした。2024年はその哲学ブームを引き継ぎながら、実用書やビジネス書の類が多く入ってきました。
昇格試験や役職の変化によって、今まで通りの知識ではいけないという思いから読み始めましたが、意外と面白くて楽しめています。興味よりも必要性で読んだ本が多くなった年なのかなと思います。
去年は、モートンの『ヒューマンカインドー人間ならざるものとの連帯』を2023年を代表する本として選びました。今年は、『答えのない世界を生きる』を選びます。
プライベートと仕事の両方で、そのときの自分では答えを持ち合わせていない状況に対応し続けた一年だったと感じています。より忙しくなると思いますが、来年も読書はもちろん継続していきます。皆さんも2025年が良い読書年になりますように!