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【不登校】卒業式に出席するかしないか問題


まだ寒さの激しい北国でも、日中の日差しに春の気配を感じるようになってきた。2月も終わりを迎えるこの時期は、高校では卒業式を迎えるシーズンだ。小学校や中学校も3月には卒業を迎える。卒業生で不登校の子どもを持つ親にとっては「卒業式に出席するかしないか問題」のタイムリミットが近づいてくる頃だろう。

「子どもの気持ちを最優先に考えること」が大事だとわかっていても、親としては「なんとか行ってほしい」と思ってしまうかもしれない。しかし「出席するのかしないのか」は、本人が決めることである。後悔するかどうかも、後になってみないとわからないのだ。だから、「今、どうしたいのか」という気持ちに正直になるしかないのだと思う。

中学校の教師だった時、不登校の生徒たちには卒業式の参加をどうするのか決めてもらっていた。

1.卒業式に出席する
2.卒業式が終わった後に行う、「第2部」の卒業式に出席する
3.校長室で卒業証書を受け取る
4.担任や校長が家に行って卒業証書を渡す


私が経験したのはこの4つだった。どれを選んだとしても、不登校の子どもにとっては、数日前から体調や気持ちを整えてその日に臨むわけである。それを想像するだけでもなかなかハードルが高い。

それに卒業式は証書を受け取る場面があるので、他の式よりもずっと生徒たちは緊張する。式の中では立ったり座ったり、歌ったりしなければならないので、楽しい要素はほとんどない。

しかし周りの大人たちは「義務教育最後の節目だから」とか「友だちとの最後の別れになるから」などと自分の体験から「卒業式の思い出」を美化して子ども達に伝えているように思う。もちろん卒業式を否定するわけではない。私も教師として何度も感動した経験があるからだ。

でも不登校の子に対しては、出席するもしないも、本人の気持ちを率直に話してもらうしかないと思う。教師も親も「その日、行くだけだから」と無理に行かせようとするのは、もしかするとその子を最後の最後にまた傷つけてしまうことになるかもしれない。


私が経験した中でも、最後まで学校に来なかった生徒もいた。でもそれがその子の人生に影響を与えるかどうかはわからない。卒業式に出席したらその後の人生がバラ色になるとも限らないだろう。

逆に、「卒業式には何としても出たい」と言った子もいた。クラスメートたちと思い出話で盛り上がったり、写真を撮ったりすることで、「卒業」という1ページを演出し、自分でも「けじめ」をつけられることもあるようだ。


どちらにしても、その子にとって次のステップに進むためのポイントになる卒業式。親としては嬉しくもあり、心配にもなるでしょう。そして、もしも卒業後に進む方向がまだ決まっていなくても、親は焦らずに子どものタイミングが来るのを待ちましょう。学校や世の中の時間の流れと、子どもの時間の進み具合が一致しなくても大丈夫です。時期がくればちゃんと子どもは動き出します。


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