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【不登校】新学期を迎える不安


3月になりやっと北国の長い冬も終わりが見えてきた。外はまだ寒いけれど、部屋の中では日差しも暖かで、気持ちまでウキウキしてくる。でもそんな春の訪れを歓迎する人ばかりではない。不登校の子どもたちにとって春は「新入学」や「新学期」という高いハードルに挑戦しなければならない季節なのだ。

私の娘は高1で不登校になり3月で退学した。実際に辞めると決めたのは12月だったが、その後の進路は4月になっても決まらなかった。新年度から新しい環境で生活を始めることはできなかった。当時は学校に行くことよりも、心を安定させて体力を回復させることを第一に考えていたが、それでも「あと何か月待てばいいのか?」「何年もこの状態が続くのか?」と不安な思いが消えることはなかった。

だから新学期で揺れ動く親の気持ちはよくわかる。子どもの状態が安定しない中で、学校に連絡しなければならないし、進級や入学の準備も始めなければならない。親だって新しい環境にはとまどうのだ。

でも一番優先しなければならないのは、子どもの気持ちだと思う。家にいると、なんだかお気楽そうに見えるけれど、きっと親が想像する以上に学校のことや自分の将来について、子どもは真剣に考えているはずだ。4月に動き出そうと準備を始める子もいるかもしれない。

もし、4月になって子どもが登校することができたら、親はただ喜ぶのではなく、その心理状態や体調をよく観察しておくことが大事だ。新学期のスタートはみんな、新しい友だちとの出会いに希望を抱き、楽しい出来事を期待する気持ちが強い。ハイテンションのうちは気づきにくいが、少しずつストレスや疲れはたまっていく。それに不登校を経験した子どもは、周りの人たちに遠慮したり、気を遣いすぎたりする傾向があるので、必要以上に心身に疲労が蓄積されるのだ。

学校でも配慮してくれるとは思うが、やはり家に帰ってきてからゆっくりと心と体をメンテナンスしてあげる必要があるだろう。安心して体を休めることができて、信じてもらえる人がいつもそばにいる環境が整っていれば、子どもは自分の道を切り開いていけるはずだ。

残念ながら新学期に動き出すことができなかった場合も、必要以上に不安になることはない。無理に学校のスタートに合わせても、途中で息切れしてしまうこともよくあるからだ。十分に心と体を休め、活動が再開できるようになったら、その時点で始めても問題はない。つらいのを我慢して登校するよりは、学校以外であっても自分のペースで学べる環境の方がずっと健康的だと思う。今はオンライン上に学習環境が整っているので、その子に合ったやり方を親子で見つけることができるだろう。

4月にスタートできなかった娘は10月の入学に合わせて通信制高校に入学した。でも入学したら全てがうまく進んだわけではない。はじめはサポート校に行くにもけっこう勇気がいるようだった。人目も気になっているようだった。でも新しい環境で、新しい出会いを繰り返すうちに、ちょっとずつ不安が消え、信頼できる先生にも支えてもらって、経験を自信に変えることができたと思う。辛いことは半分に、楽しいことは2倍になるように支えてきたつもりだけれど、私ができることはそんなになかった。娘は自分のチカラで起き上がって、歩き始めたのだ。

娘が人生を一時休止したことで、親としての限界も感じた。でもこの時間がなかったら、これ程真剣に娘と向き合うこともなかったと思う。
だから今はしんどくて、先が見えないかもしれないけれど、あなたのお子さんもきっと大丈夫です。

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