見出し画像

きものコトハジメ|着物を始めたいあなたへ

着物を始めた。

といっても,習い事を始めたわけでもないし,どこか着ていくような立派な場所があるわけではない。着物を着て出かけたのは,近くのスーパーとコンビニくらい。あとは義理の実家へ,食事に。

着物に関心がある人は多そうなのに,着物は敷居が高いイメージがあるのではないかと思う。だから,私の経験を残しておきたいと思う。

それが,いつか誰かの役に立てれば幸いです。

ーーー

着物のイメージときっかけ

着物って高級なイメージがある,と思う。
うん十万もしそうだとか,お店に入ったら買うまで退店できないとか。気軽にちょっと見てみるとか,試着してみるとか,そんな普段行くような洋服屋さんとは趣を異にする感じ。

あとは販売圧がすごいといった消費者としては気持ちの良くないイメージもあるかな。
知り合いは,どこぞかの着物教室に通い始めたけれど,10回コースの最後にあるパーティーで着るための着物を買えよ!!という圧がすごくて,ものの数回でやめたらしい。圧は個人の主観だから,真相はわからないけれど。

それでも私が着物を着たいと思ったのは,着物へのあこがれがあったから。

日常着として,おしゃれとして,着物を普段使いしたい。
ただそれだけの理由。別に立派な理由があるわけではない。


着付けを覚える

私は着物教室には行っていない。
いろいろと調べてみたけれど,仕事との両立が困難だし,免許は求めていない。ただ日常着として着られるようになるためだけに,教室に行くほどの体力はない。

ということで,直接販売店に行って,数回だけ教えてもらった。数回だけ教えてもらうのも無料ではないけれど,教室に比べたら,うんと安い。だって,お客さんだもんね。

着付けは,そんなに難しくない。コツさえつかめばすぐに着られる。
お作法も大事だとは思うけれど,日常着として着られれば良いので,とにかく着られるようになることが何よりも大切

販売店としても着られるようになってもらえないと売れないから,最短距離で教えてもらえたのかもと思うけれど,比較対象がないからわからない。


着物の初めての購入

販売店で着物を買うときは,

・日常着を想定していること
・自宅で洗えるくらいに手入れが楽なこと

の二点が絶対条件で,「よい」ものは要らないと明言していた。

要らないって言ったって,商売としては販促しないわけにもいかないと思う。店員さんの立場もあるだろうけれど,無駄な時間は過ごしたくないので,

・留袖や訪問着は実家にあること
・祖母が着物を着る必要のある芸事をしていること

の二点を伝えていた。
買う気のない客に熱心に販促してもしようがない。中途半端な接客も必要ない。必要だと判断したら買うし,そうでなければ買わない。ただそれだけ。

もしかしたら販促を圧だと感じる人がいるのかもしれないけれど,ここはお互いにドライでいたいので,条件は明確に提示した。販促されたって要らないものは要らない。逆に言えば,必要だと判断すれば少々高くても買う。

今思えば,店員さんとの相性も良かったのかもしれない(後述します)。


最初に買った着物たち

最初に買ったのは,

・洗える着物
・正絹の半幅帯
・帯紐などの小物各種
・洗える絹の長襦袢
・羽織

である。
長襦袢はポリエステルでもよかったけれど,あえて絹にした。
その理由は,

・肌に近いこと(ポリだと乾燥しやすい?)
・ポリエステル着物を着るときに静電気が起こる可能性を低くしたいこと
・フォーマル着物に備えて汎用性の高いものにしたいこと

の三点である。
安い長襦袢も薦めてはくれたけれど,私は土台を大事にするタイプなので,お金をかける所にはかけることにした。

そして,着物も長襦袢も自分サイズに仕立ててもらった。

初めての着物がサイズ違いで着付けづらかったら,きっと着るのが嫌になって二度と着ない。自分サイズに仕立ててもらっても着れなかったら,それは自分に技術がない証拠だと思っている。だから,最初は自分サイズにした。

ちなみに着付け小物も一式,同じ店でそろえた。
ネットでもリサイクルショップでも,安く済ませようと思えば,方法はある。だけど私は,ちまちまと購入するのが煩わしかった。店員さんにも「ぶっちゃけどう思う?」って相談したり,しばらくネットでも調べてはいたけれど,面倒になったので一式そろえた。

ここで自分の店の小物を販促しなかった店員さんは,信頼できると思った。


譲ってもらった着物とリサイクル着物と

義母に着物を譲ってもらった。
レトロなウール着物のアンサンブル。合わせる帯は義父が義母にプレゼントしたという織物。いいのか?

もしこれが最初の着物だったら,多分私の着物熱は冷めていた。
だけど,これが二着目の着物だったから,私の着物熱は高まった。

ウール着物は質感が違う。
柄はあまり好みではないけれど,日常着として着るには,とてもいい。しっかりしているので,がしがし着ても問題ない。

何より惜しげがなく着られる。

仕立てた着物はすごく気に入っているけれど,ちょっとスーパーに行くにはきれいすぎる。カフェに行ったり,ショッピングしたりと,そういう休日を過ごすにはいいけれど,スーパーに行くにはきれいすぎる。

だから,いい練習着になっている。
いずれリサイクルショップで,自分好みのウール着物に出会いたい。

リサイクルショップでポリエステル着物を買った。
落ち着いた色のプレタ着物で,今ある帯に合うものを。

いくら洗える着物を買ったからって,やっぱり最初はドキドキする。せっかく自分サイズに仕立てたのに,と扱うのにやたらと慎重になってしまう。

だから練習用のポリエステルの既製品の着物。
練習用と言っても,カジュアルなお出かけには十分対応できる。もし汚れても惜しげもなく洗えるから,この着物で経験値を積んでおきたい。

なんといっても2000円以下だ。

こんなふうに練習着が1着ないしは2着あると気軽に楽しめるかも。
身体の動かし方や着崩れは,やってみないとわからない。あえて大股にしてみたり,立ったり座ったりして,どんなふうに動けばよいかを自分で試してみる。惜しげのない着物で,どんどん経験を積むしかない。

私はリサイクルショップで最初に買う勇気はなかった。
なぜなら,どうしたらいいかわからないから。

先にも書いたように,最初から自分で組み立てるには体力がいる。リサイクルショップで着物を買うことができたのは,着物の知識が増えて,見るポイントがわかってきたからだと思う。

だから,最初はしっかり,あとは適当に,かな。


誰かの初めてをプロデュースするなら

いま誰かの初めてをプロデュースするなら,着物は同じように買うと思う。長襦袢や帯はお好みで。小物類はリサイクルショップで十分だと思う。着物を仕立てたとしても,5万円で収まるんじゃないかな。

着物を仕立てることができれば,そのお店で着付けレッスンも受けられる。他にもいろいろと販促されるかもしれないけれど,それが仕事なんだからしようがない。いらないものは,いらないと早々に言おう。

着付けのレッスンを受けなくてもYouTubeでどうにかするという人は,最初から,リサイクルショップでいいと思う。

だけど,私は仕立ててよかったと思っている。
なぜなら,お店とつながることができるから。
お店の人とつながれば,

・着物の相談ができる
・コーディネートを相談できる
・着物の知識が増える=見る目が育つ

というメリットがある。

初めてのことを自分で組み立てていくって,体力がいる。
私にはその体力はなかったから,自分で組み立てずに,お店に外注した。着付けのコツも,帯の結び方も,日常着として着るときのいろんな話をしながら,レッスンをした。正直,着物を着られるようになるだけだったら,YouTubeでどうにかなると思う。体力さえあれば。

あとは,着物を着ている友人がいれば,それが一番だと思う。
仕立てるのはちょっと…というのであれば,一緒にリサイクルショップに行こうぜ!って思っている。

着物の知識が増えれば,自分で判断する力がつく。
私には着物を着ている友人がいなかったので,店員さんを通して着物の知識を増やし,どんどん質問した。この経験があったから,私は着物と向き合うコツがわかった気がする。


おまけ:店員さんの話

私が担当してもらっている店員さんは,なぜだか私と相性がいい。同じ店にいる他の店員さんも悪くはないんだけれど,なんだかしっくりこない。たぶん他の店員が最初だったら,私は着物デビューをしていないと思う。

何度も通りがかったことのある店の前で,初めて足を止めた。
それは店員さんに声をかけてもらったからだけれど,たぶん今までもそんな声掛けはいくらでもあったと思う。無視してたけれど。

それでも足を止めたのは,その人と相性が良かったからなんだと思う。


そんな偶然のタイミングが,実は何よりも大切なのかもしれない。


ーーー

とうことで,私の着物ライフは,まだまだ始まったばかり。
始めたいけど…という人の参考になればいいな。




いいなと思ったら応援しよう!