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「演劇」と「配信演劇」の先行き

#イベントレポ

新型コロナウィルスによる自粛、緊急事態宣言が終わって、一ヶ月と少しが経ちました。ここ最近は東京での感染者が200人越えという数字の話が盛んに報道されています。自粛があけても、なかなか厳しい状態は改善されないまま、それでも経済を回すためにいろいろな動きは進んでいきます。

演劇は大きく割りを喰った一つで、相次ぐ公演中止となったあとに、ここ最近は少しずつ公演を再開させています。自分も多くの公演が中止、払い戻しとなったので、まあお金の戻り具合を見て、いっぱい使っていたんだなあ、、、と再認識しました。

今週末は、いろいろな演劇配信がスタートしています。一つは三谷幸喜さんの「大地」がWOWOWオンデマンドで昨日配信されました。これは、もともとパルコ劇場で公演するはずだったものが、ソーシャルディスタンスバージョンとして、再構成されたものが現在、劇場で公演されているので、それを配信したものです。

そして一昨日は、つかこうへいさんの命日ということもあり、公演中止になった「銀ちゃんが逝く」を朗読劇という形で紀伊國屋ホールで公演しています。こちらも客席を開けてチケットを販売しました。と同時にこちらもStream+で配信もありました。

この「銀ちゃんが逝く」は正直、いろいろな思いがあります。つかこうへいさんはずっと見てきた方です。いろいろな作品を見てきた中で、亡くなられたあとは弟子を自認している岡村俊一さんがつかさんの作品を演出しています。いいときも悪いときもあって、例えば「飛龍伝2020」はかなり良かったけど、以前の「熱海殺人事件」は正直悪かった。そんな中「朗読劇」という体裁に関しては、つかこうへいの演劇世界を描く手法としてどうなのか?という部分に非常に疑問を持ちました。難しいなあ、、、、、、、いろいろな考え方がありますが、個人的になかなか判断が難しかったです。結果的には、仕事もあったので、配信も見ることができず、SNSにおける評判のみを見ることになってしまったので、残念です。乃木坂ファンは井上小百合さん目当てで行った公演ですが、あの朗読劇はつかこうへいの世界の何を表したのか、、、、複雑な気持ちです。かなり評判は良かったので、見たかったなあ。

そして昨日は夜に「TOHO MUSICAL LAB」が配信されました。三浦直之さん演出の「CALL」、根本宗子さん演出の「Happy Ever After」の二本立てを観客がいないシアタークリエから配信しました。

「CALL」は昨日途中で配信を見ることができなかったので、後ほどアーカイブ放送で見ようと思います。途中まで見た感じでは、配信ですが演劇っぽい設定、演出そのままを画面を通じて見ることができたのかな?と思います。もう一回見るのが楽しみです。

そして根本宗子さんの「Happy Ever After」ですが、乃木坂46の生田絵梨花さんと海宝直人さんの二人の夢の中での出会いと、現実への回帰というストーリー。現実世界へのもどかしさ(設定での境遇と、現実のコロナへのスタンス)と、希望や不安も描きつつ、主演二人の歌声がシアタークリエに響き渡ったのが非常に印象的です。根本宗子さんらしい踊りでの表現を混ぜながら、夢で出会った二人が近づいていくストーリーは楽しいものでもあり、現実に戻るところにいろいろな気持ちがこもった作品でした。

作品は本当に良かったです。

そして、やっぱり演劇は「ライブ」なんだなと痛感した配信でもあります。実際に映像で見たときに、カメラワークだったり、いろいろなものが考えられた作品でしたが、やっぱり劇場で見てこその演劇ということも、個人的には痛感します。それはやっぱり息遣いや、空気の共有など、「ライブ」というものが非常に大事なものであるということが、昨日の歌声が劇場に響いたときに痛感した感じです。もちろんこれからもいろいろなスタンス、表現方法があると思います。昨日の作品は配信ならではの演出が活かされていたと思います。演劇という一つの作品が成立するものとして、いろいろな要素がある中、配信の面白さと難しさを感じた時間でもありました。

お金を動かすシステムとしては、これからもうまく使っていけば良いと思います。以前からライブビューイングという仕組みはあり、自分も以前、第三舞台の解散公演を映画館で見ました。その前に劇場で見ていたこともあってか、どちらかというと記念という意味合いが大きかったですが。配信という仕組みでサザンオールスターズがあれだけの収益を上げたことは大きな意味があると思います。それは言われているように、スタッフさん含めてお金が回る仕組みが必要になるので。昨日の配信での収益がどれくらいかはわかりません。本多劇場の「DISTANCE」もどうだったのでしょう?演劇という仕組みの中で、ライブ感は切っても切り離せないものだし、演劇という芸術における演者と観客というつながりは、スポーツもそうですが不可分だと思います。以前の野田さんやオリザさんへの批判は、また別物として。

配信はやっぱり配信であり、それは演劇という仕組みの一つの手法であるけど、代替品ではないです。それはみんな感じていること。だからこそ、演劇が好きな自分としては、その代替品が如何にこれから先の成果の一つになるかは、演劇側の使い方にかかっていると思います。違うものでいいと思います。その違うものを使って、劇場に足を運ばせるための方法に活かせるか?を楽しみにしたいと思います。

さて、気になるのは金額、、、、、実際にいくらなら払うのか。
これが非常に難しい。
個人的には、正直なところ、今回の演劇配信に関する金額は「お布施」に近い気持ちでいます。今まで演劇で素晴らしい気持ちにさせてもらった分の感謝の印。今回の配信は3500円でしたが、まあそんなもんかな。
安くはないけど、お金をまわす仕組みとして考えるとある程度の金額でないと、諸々厳しい。
これからはどうなるか、、、、劇場で生で見ることと配信がどう両立していくか?このあたりはメディアミックスみたいな展開があったら面白いことにできるか、できないか、、、、
ただ舞台を見たい人はやはり劇場で見たいでしょうから、今回の配信サービスに関しては、やはり存続のための緊急措置という意味合いが強い中、これからの配信をどう使っていくかは、シスカンパニーのようなプロデュース公演が打てる事務所などが工夫していくと面白いと思うのですが。

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