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kaniemon_photo
【詩作】星の降らない街
祈りのない夜行の部屋で
文庫本の山が崩れる
床に散った近代の言葉を拾って
時計の針にひとつずつ乗せた
描く孤はシュールな旅のよう
青いだけの心で
疑うことを知れないまま
余計な話を君に続けた
星が降りもしない町では
地表に無数の火花が蠢く
喉が渇いて酒を飲んだ
排気ダクトの臭気をアテにしながら
宇宙からのメッセージを
声に出して読んだ
歴史の遡行に爽やかな朝を付け足せば
価値体系は君と僕の間だけで成立する
だから春になれば汚濁の浮かぶ川に
全て流してしまおう
いつかあの街へ流れ着いたなら
現代の唄になって
土色の夜にはしゃぐ、悪魔の子が
ちらりと胸の奥で口ずさむだろう