何の為に修行するのか? ⑨【三相(無常・無我・苦)を観る為に知っていく】
三相(無常・無我・苦)を観る為に知っていく
(⑧続き) ただただ知っていくと何が得られるのでしょうか。仏教の教えは具体的なのです。何をするのか。何の為にするのか。どの様にするのか。
どの様にするのかはもう言いましたね(③~⑦参照)。
この様に心を観る場合には、それに従って観ていくのです。状態が生じたならば ただただ それを観ていくのです。貪欲が生じたならば その後に貪欲が生じたと知る。怒りが生じたならば その後に怒りが生じたと知る。考えに浸り込んだならば、その後に考えに浸り込んだと知る。生じたものに従ってただただ知っていくのです。
何をするのか、何の為にするのか、どの様にするのか、行ったならば、どんな果が得られるのか?
私達がただただ観て行くならば、このような状態を目の当たりにすることになります。心が考えに浸り込みます。それから心は考えに浸り込んだことを知ります。それからまた心は考えに浸り込みます。そして心は浸り込んだことを知ります。しばらくすると他の事が心に割り込んで来ます。それから貪欲が湧き起こってきては、それを知る様になります。それからまた考えに浸り込みます。浸り、浸り、、さらに浸り、それから考えに浸り込んだ事を知ります。「あっ」今度は怒りがまた生じてきました。それから暫くすると貪欲が割り込んできます。またしばらくすると、既に怒りが割り込んでいました。しかし今回の浸り込みは煩悩が床にべったり座り込んでいました。
ですから、私達はただただ知ることを間に合わせなければなりません。浸り込まないために知ることを間に合わせるのではありません。では何の為に知る必要があるのでしょうか。
「さっきはあんな心だった、今ほどはまた別の心だ」。「先ほどは心が貪欲だった、今はさきほど心が貪欲になったと知っている」「さきほど考えに浸り込んだと、今知っている」
貪欲を生じさせない、怒りを生じさせない、考えに浸り込まない為に訓練するのではありません。観えるようになる為に訓練するのです。それは、ささきほど一つの心があった、今はもう一つの心である。さっきの心はあれだった。いまの心は別なものであると観えることなのです。これは法(ダンマ)の三相(無常・無我・苦)の状態が観えるという事なのです。
さきほど心が考えに浸り混でいたのは観えましたか?今、考えに浸り込んていたその心はもう消えてしまって、それを知る心が生じています。
さきほど心に怒りが生じていたのが観えましたか?今はそれを観る人の心が立ち上がっています。怒った心が消えました。それを知る心が生じています。知る心というのは長い時間生じているわけでは無く、その代わりにハマる心が今度はまた沸き起こってしまうものなのです。
考えに浸り込んだならば、浸り込んだと知る。貪欲が生じたならば、貪欲が生じたと知る。怒りが生じたならば、怒りが生じたと知るのです。
何度も訓練していくのです。良い状態になる為に訓練するのではありません。悪い状態を拒否するために訓練するのではありません。生じて入っては出て行く全てのことを知っていくのです。全てのことは一時的なことであると観える様になるまで訓練を続けるのです。心に生じる貪欲も一時的なことなのです。心に生じる怒りも一時的なことなのです。考え事に浸り込むことも一時的なことなのです。どうして浸り込むことは一時的なのでしょうか。なぜならば知る心が区切るからなのです。浸り込むことが一時的に観えるのです。もしも知る心が全く無かったとしたら、浸り込む心だけしかなくなるのです。浸り込み、浸り込み、一日中、一晩中浸り込むのです。私達は浸り込んでしまったら安定し変わらないと感じてしまうのです。そこからは現象は三相(無常・無我・苦)であると観えることは無いのです。しかし、知る心が立ち上がったのならば、浸り込みが断片に切られた様に観えるのです。
1分浸り込みました、一瞬に感覚を感じます、浸り込んでいたことが終わったとはっきりと観えます。感覚を感じて新たに生まれ変わります。そうして2分浸り込みました、また感覚を感じます。1時間浸り込みました、もう一度感覚を感じます、これは上手くいかなくなりはじめていますね、ただだだ訓練をづづけていくのですよ。2秒浸り込み感覚を感じました、1秒浸り込み感覚を感じました、訓練が上達していますね。浸り込めば浸り込むほど感覚を感じ何度も繰り返すのです。
何度も繰り返し訓練するのです。浸り込まない為に訓練するのではありません、浸り込みを禁止する為に訓練するのでもありません、知る状態をずっと続ける為に訓練するのではありません。 すべての生じる事はすべて消えていくと観えるために訓練するのです。(続く)
¶ 施本 ปฏิบัติภาวนาเพื่ออะไร バティバッ・ パーワナー・プア・アライ (何の為に修行するのか)より
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