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表現や創造の純粋性を問う

ものづくりが好きな私、発信まではしているけれど、それで収入を得たことがない。

なぜなら、心からそれを好きで、利益を手放しても本当にいいものを創る、という純粋な想いを保ち続ける自信がない。

いろいろなものを作っていると、毎度痛感させられる。
刺繍やビーズのアクセサリーを作る時、イメージが自然と湧いてきて、あまり頭で考えすぎず自由な発想で作る時は心から楽しい。
そして、思い通りにできても、イメージと違うものができても、愛らしいと思えるものができる。
でもこれを誰かのために、とか売るものとして作る時は、向き合い方が一気に変わる。(気構えすぎという私の気性もある)

本当に表現したいものより、
見た目がより綺麗に見えるもの、
失敗しにくいもの、
失敗してしまっても修復がきくもの、
少なくとも拒否されなさそうなもの、

受け身になって、失敗を恐れて、
そういう想いが先行で作ったものは、驚くほど
上手くいかない。何がしたいの?っていいたいくらい
お世辞でもこれが欲しいとは1ミリも思えないものが生まれる。

お菓子作りでもそうだ、
材料費を抑えて効率を重視して作ると、それなりのものにしかならない。見た目はそれなりでも味が良かったらオッケーなんてことにもならない

高くても本当に使いたい材料、時間がかかると分かって、一手間もふた手間もかけたものは、
やはりそれだけのものに仕上がる。

私は基本レシピを見ずに自分のイメージで作るため、
失敗もたくさんある。

だからこそ、新しいアイデアや、今までにない発見のあるお菓子を目指して
レシピに沿って作るもの以上のものもたくさん作ることができた。

このお菓子にはこの材料、
これとこの食材の組み合わせは定番、
自動的に頭に浮かんでくる、そんな今までの既成概念や、枠組みから外れたからこそ生み出せたものがたくさんある。

創作を生業にするということは、
技術や能力なんかより、自分の想いと、とはいえ生きるために譲歩する部分とのバランスが何よりも大切になってくる。

基本自分に自信がない私だが、人がお金を払ってでも私の創作を買いたいなんて、
価値のあるものを作るなんて、すごくハードルが高く見える。
いつもありがとうって、私にとっては大きい金額をもらった時は確かに嬉しかったけど。

ただ作って、それを通して笑顔を見れたら、心を温かくできたらそれで大満足。
なんなら、誰かの喜ぶ顔が見たいということが、私にとっては重要でないように思う。
まずは自分の心と向き合う手段であって
もちろんその先で他人が喜んでくれたらそれ以上のことはないが、何かをつくりだすことは私自身のためにやっていることだ。

刺繍や編み物はたっぷり時間をかけて自分の内面に向き合うという贅沢な時間
刺す針の位置を1cm変えるだけで、色の組み合わせを変えるだけで、針の太さを変えるだけで、
小さな違いで、間違えるほど大きな変化を無限に楽しめて、終わりや正解なんてものはない。
お菓子作りは、切ったり混ぜたらこねたり飾り付けをしたり、色とりどりの素材や香りに包まれることで、普段行先を見失いがちな五感を存分に生かしてあげられる。
考えすぎから生まれた個性的なアイデアを大きな懐で受けとめてくれる大切な存在。
それらに触れているだけで、ああ私生きているなと深く息をすって吐くことができる

だからこそ、私の創作はすごく自己満足的だとも思う。

好きなことでお金を稼いだことがないからそう思うのかもしれないけど、
きっと自分の心境の変化は少なからずあるだろう。

自分のつくるものが必要とされていないことを恐れる気持ちや、
本当にいいものより、利益を一番に考えるようになるかもしれない。

だからこそ、対価を厭わず純粋な想いを変わらず持てるアーティストを本当に尊敬する。

例えば音楽でも、音楽をやる人はきっと色々な想いがある。
自分の想いを何かに託したい人、
発信するのが好きな人、
純粋に音楽が好きな人、
有名になってお金を稼ぎたい人、
音楽を作ることが生きることだという人、
流行りを作りたい人、
ただかっこいいから!という人

私が惹かれるアーティストは、
心から音を楽しんでいて、もちろん苦しいこともたくさんあると思うけど息をするように音楽を作る人、そして、自分の創作が人に受け入れられることに対して感謝している人たちだ。

大衆にウケるものや、
一発大きいものを当てたい、
利益を追うようなもの、
色々なアーティストがいていいけど、そこを目指す創作からは、本当に心を動かすものは作り出せるのか?ということに疑問はある。
疑問というか、申し訳ないが
商業感がありすぎる人が堂々とアーティストと名乗るのはどうなのかとも思ってしまう。

きっとそういうアーティストには、トレンドを生み出す力があって、それを広めるマーケティングが上手という才能があったりする、それはそれで素晴らしい能力だと思う。

でも本当の芸術は、利益を追うようなものと対極にあると思う。

色々な人が発信し、創作者になれる時代。
だからこそ、どんな想いで創作に向き合っているのか
を私はすごく見てしまう。
一見それっぽく見える作品が、どこか空虚に感じることもあり、そんなことをより深く考えるようになったここ最近。
だからこそ、作り手だけじゃなく受け取り側も、
真に美しい芸術や創作はいかなるものかを自身の頭で考えられる教養が求められると思う。

どれだけ有名になっても、無条件で曲が売れるようになっても、
ただ、純粋に音を楽しむことから始めた創作に、
変わらない姿勢で向き合い続ける、そんな真摯な創作がたくさんの人の心を救っていく。
ああ、この人には、音楽を作ることが人生なんだな、とまた惹かれる。

いつまでも、そんな純粋な想いを持っていたい。

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