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恒例の便乗記事:Anizine・PDLB

偉そうに教えていたら、いつの間にか社会的な地位で追い抜かれていました。

先日、渋谷を歩いていたら「あれ、ワタナベアニじゃね」という声がどこかから聞こえてきました。この平林監督のnoteにもあるように、他人から見られることのメタ認知、もしくは単なる「認知」の問題がここにあります。英語で言う必要もないのですが、recognition です。私はつねに黒かネイビーの上下にキャップを被っていますが、その無個性かつ控えめな小太りシルエットが「見た目の記号」として記憶に残り、ド派手なのと同じ認知の効用があります。

平林監督は当時、下っ端のドサンピンでしたが、私は会議の席で彼を真ん中に座らせました。「なんだかわからないけど、あのフィッチェ・ウオモみたいな派手なセーターを着た人がキーパーソンなのでは」という錯覚を与えるためです。会議なんていうのは誰が一番多くしゃべったかで決まるものです。ずっと真剣に話を聞いてメモを取っている、きちんとしたスーツを着た真面目くんがいても、発言しなければいなかったのと同じですから。

ちなみに私はいつも同じ格好をしているように見えますが、ほとんど同じように見える帽子は写真に写っているだけでもこれくらいありますから、不潔だと思わないでください。

「愛の反対は、憎悪ではなく、無関心である」という安っぽいホストがブログで引用しそうな言葉がありますが、まさに「その人がそこにいた」という印象を残せないとビジネスは成立しません。ドサンピンだった平林監督はいつしか世界の映画祭でレッドカーペットを歩くようになりました。それは彼の持っている映像を作る能力の他に「存在感の爪痕」をも残せた結果だと言えましょう。

ファッションや佇まいの話をすると、流行の洋服のブランドの話になることがありますがそうではありません。自分がどんなユニフォームを着ていたら自分がアピールすべき中身の最短距離に到達するのかを考えることです。とにかく出会う相手にわかりやすく。白い髭でバンダナを巻いて作務衣を着ているおじさんがいたら、蕎麦を打っているか、陶芸をやっていると誰にでもわかりやすいのです。その局面においてPRADAのスーツでは駄目なのです。

フリーランサーというのは「自分という屋号」の商店と同じですから、店のインテリアが、売っている商品のテイストとズレていたらお客さんは戸惑います。とにかく恥ずかしげもなく、ベタに、わかりやすく。勇気を出して。



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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。