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ソレノイド

久しぶりの雨に気づいたのは
明日の手前くらいの遠くで
雷鳴が聴こえたからだった

窓を開けなくても
夜が近づくにつれて部屋は暗くなる
黄色味がかったランプは仄明るかった

スープを温めなおすと
ぼんやりと湯気が上がる
古い写真を見返したみたいだった

雨を見ようと窓を開けると
飛行機が横切ってゆく
遠くを見つめるとそれ以上に
遠くの想いに手が伸びるのは
どうしてだろう

ベッドに入ってから
偶然見かけるなら
飛行機と鳥の群れのどちらがいい?
深くなる呼吸にまぜて
私のなかの私に問いかけた

そうだなあ
こたえを聴くまえに眠っていた
小さな窓がひかったような気がしたけれど
もう雷鳴は私には届かなかった


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りよう
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