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ウィール
浮遊感に似た感じをおほえるのは上がりも下りもせず留まり続ける微熱のせいだろう。まるでスペースボーイにでもなったみたい。それなのに、身体ではない真ん中だけは重力を感じている。それとは別に、引力は遠くなってゆく。
日々浮かべることが目の前にある、というより思い出すこと、になってしまうのは、もう私には記憶しかないからなのだろう。
細胞は少しずつ生まれ変わり、季節は少しずつ剥がれ落ちてゆく。身体が放熱を繰り返しても、枝先の葉は赤褐色に変わることは止まらずに、水分を減らして循環の一部になってゆく。
暑い陽射しにお洗濯ものが乾くことと、乾燥した空気に晒されてお洗濯ものが乾くこと、変わり映えしない営みのなかでも生まれ変わりを繰り返しているのだと、野良猫が横切ったのをきっかけに見た茜空を見ながら考えていることを感じ取った。
少しずつ遠くなってゆくのは嫌だな。
後ろ足で地面を掻くみたいに閉じた眼は現実の反対側を泳いでゆく。
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