【今日の一冊】ありのままの相手を認めるって?/天野ひかり、とげとげ。『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』
普段、社外面談のカウンセラーをしている私。
最近、相談者の気持ちをまるっと受け入れられないような…
知らず知らずのうち、自分の価値観をものさしに「その考えって違くない?」と思ってしまうのです。
どうやったら相談者のお話をフラットに聴けるんだろう……
そんなヒントを探すべく読んだ本を、今日はご紹介します。
どんな本?
著者は、かつてNHKの「すくすく子育て」の司会をされていた天野ひかりさん。
現在は「親子コミュニケーションアドバイザー」というお仕事をされています。
4コマ漫画を用いながら、子どもの自己肯定感を育む声掛けのイロハがぎゅっと詰まっています。
片づけてほしい時、悪口を言い始めた時、外で騒いでしまった時など…
場面ごとに、どのような言葉を子どもにかければ良いか、丁寧に解説されています。
自己肯定感を育む声かけとは?
子どもと関わる基本姿勢
「こんなときどうする⁉」と場面ごとに子どもの声掛けについて考える本書。
例えば、遊具の前で「やりたくない…」と尻込みする子どもに対して、あなたはどのように声を掛けますか?
ここで「一緒にやろう!」と手を引っ張るのはNG。
「やりたくない…」の言葉にどんな気持ちが隠れているのか聴いた後、「パパと一緒にやってみる?」などと気持ちを汲んだ提案をする、というのがOK例として紹介されています。
この関わり方は、他の事例でも形を変えて紹介されていました。
まとめると、以下の3ステップで構成されています。
①大人が子どもの言葉を受け止め、共感し認める
②子どもの気持ちを踏まえて、大人が次のアクションを提案する
③子どもが納得してそのアクションを踏める
お気づきの方もいるかもしれませんが、大きな流れはカウンセリングと同じです。
カウンセリングでは、すぐに積極的な提案を行うことはありませんが、この姿勢はまさにロジャーズが提唱する「共感的理解・無条件の肯定的関心・自己一致」を本質的に体現していることが分かります。
👇ロジャーズの3要素については以下をご参照ください👇
子どもの場合、発達段階によって、うまく言葉にできないことがあります。
例えば、
・お腹がすいて疲れているから早く何か食べたい
→「おかし食べたい」の一言に集約されたり…
・今日はママとあまり遊べなくて寂しかったから構ってほしい
→「もっと遊びたい(体をバタバタ)」に集約されたり…
首を大~きく縦に振る方、多いのではないでしょうか。
大人になると言葉で表現できるようになるし、理性が働いて手が出るなんてことも無くなっていきます。
子どもにとっては、言葉にできないこと=心がモヤモヤすること。
大人も子どもも「何だかモヤモヤしているこの気持ちを分かってほしい」という気持ちは同じなんですね。
子どもがやりたいことを認める
習い事や遊びなど、親がやってほしいと思うことと、子どもがやりたいことが異なる時はどうすればよいのか。
著者は「子どものしたいことを邪魔せずに認めること」を推奨しています。
例えば、折り紙をするとき。
親は「鶴を折ってみたら?」と提案。
でも、それって子どもが本当に折りたいものなのか…?
折り紙はちぎったって良い。
その時は「指で破っているんだね」と、子どもを認める関わりを勧めています。
もし、ここで鶴を折ってみたら?という声掛けをし続けたら…
大人に褒められることを目的に行動するようになり、大人の顔色を見ながらやることを判断するようになってしまいます。
当たり前にできることが、実はすごいこと
親子で電車に乗った事例で、「じっと座っている子どもにどう関わるか?」という問いがあります。
この時、著者が推奨しているのが「当たり前にできた良いことを認める」ということ。
電車に乗ると子どもに目がいかなかったり、ついつい「静かにしなさい!」と注意しがちです。
ですが、本来、子どもは5分でもじっと座っているだけでスゴイこと。
だからこそ、大人が子どもに「ちゃんと座れたね、えらいね」と声をかける。
子どもは電車に座れた自分に自信を持つ、という好循環が生まれます。
一方…大人になると、ほめて認めてくれる人はグッと少なくなります。
だからこそ、大人になっても自分で自分に「ちゃんと出来たね!」と声をかけられるようになりたいものですね。
カウンセラーとして相談者を受け入れるとは?
ここからは、本書の事例から、カウンセラーとしてどんな役割が求められるのか考えてみます。
ガマンを重ねた子ども時代の先にあるもの
子どもは自分の気持ちを言葉にできないことがある、というのは先述の通りです。
その段階で大人に欲求を押さえつけられると、子どもが自分の気持ちを言えなくなってしまいます。
そのまま大人になってしまったのが、そう、私です……
そして、私と同じ経験をしている方が、世の中には沢山いるということも分かってきました。
だからこそ、子ども時代に自己肯定感という名の「器」を大きくすることが、めちゃくちゃ大事。
加えて、器は大人との関わりによって大きくなる、ということも本から伝わってきます。
カウンセラーが相談者に質問する意図って?
仕事から帰ったパパと子どもの会話の事例を見てみます。
なんとなく会話しようと関わっても、子どもは見向きもしません。
一方、日中子どもがどんな風に過ごしたか興味を持って聴いてみると、堰を切ったように今日の出来事を楽しそうに話してくれます。
カウンセラーも同じ。
相談者が普段どんなふうに生活していて、何を思っているのか?
興味と関心を持って、相談者と関わりたいものです。
親子関係もカウンセリングも、何でも話せる場が信頼を生む。
何でも話せる関係だからこそ、問題が大きくなる前に子どもや相談者の気持ちを知り、一緒に伴走したり寄り添うことができるのです。
おわりに
この本を読んでみて、カウンセラーって親と近い役割を担っている気がしました。
大人になると、親がいつもそばにいて、話を聴いてくれるわけではありません。
形は違えど、親やカウンセラーのように「何でも話せる人がいる」というのは、いつの時代も心の支えになるものだと思いました。
私もそうやって、たくさんの方の心の支えになりたい!
大人の皆さんも、悩んだり行き詰った時には、心理カウンセリングやキャリアカウンセリングを気軽に使ってくださいね^^
(最近では無料で相談できたり、福利厚生で使える場合もあります)
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
それでは、またお会いしましょう~!
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