【今日の一冊】この世は全部フィクションだから!/『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』
先日、「むしょく大学」で東洋哲学のオンラインウェビナーが開催されると知り、参加してきました。
「東洋哲学」聞きなれない言葉だと思いますが、仏陀や老子・孔子などが説いた仏教の教え、と捉えていただければOKです。
このウェビナーの講師をされたのが、『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』の著者である「しんめいP」さんです。
ウェビナーに先立って本書を読んだのですが、これが今の自分にささる考え方ばかりで…!
私と同じく人生で立ち止まっている方に是非読んでいただきたく、皆さんにもシェアします。
むしょく大学について
むしょく大学は、一般社団法人キャリアブレイク研究所が運営しています。
一時的な離職/休職期間である「キャリアブレイク」を過ごす方がつどい、共に活動できる授業やおしゃべりを通じた学びあいの場を提供しています。
むしょく大学には2つの学部(供養学部、自由研究学部)があります。
その他、大学生専用のコミュニティがあったり、単発のウェビナーも開催されたり。
先日オリエンテーションに参加してきましたが、ゆるっと参加も良し、授業に参加するも良し、自分で企画してみても良し。
こういった場を作ってくださって本当にありがたいです。
しんめいPさん・著書について
しんめいPさんは元々、IT企業に勤める会社員でした。
ですが、働くにつれ「意識だけ高くスキルは無い自分」に気づき始めます。
鹿児島に移住してみたり、芸人になってみたり色んなことを試したが、うまくいかない。ついには無職になり、離婚も経験。
引きこもって布団にくるまっていた時、出会ったのが「東洋哲学」。
当時の心情をまとめたnoteをきっかけに、本著が出版されました。
同世代というのもあるんですが、紆余曲折のプロセスが自分と似ているところに興味を持ちました。(芸人にはなりませんでしたが)
私は関西の大学を卒業し、大阪で就職。IT現場で心身が疲弊し、一社目を退職。
二社目はUターン就職をしました。ですが、田舎ならではのしきたりに違和感を感じ、転勤で再度関西へ。
その後更なる転勤で関東へ行きましたが、会社員生活に窮屈さを感じ退職。今に至ります。(関東時代に一度転職し、全部で三社経験)
行動してみても、自分の心は満たされることはなく…
結局、自分が大切にしたいこと・やりたいことは環境を変えても分からず。
こたえは自分の中にあるんだ、とようやく気づいた今日この頃です。
聞いて心が軽くなった仏教の教え
龍樹「この世はフィクション」
龍樹は仏陀が亡くなって700年後に登場した、インド人です。
仏陀は「心を観察すると自分ってもんは無いってわかるよ」と説いた人なのですが、これが難しすぎて、シンプルなのに分かりにくいという複雑怪奇な状況に陥っていました。
そんな世間をぶち破ったのが、龍樹。
彼はこの世界を「空(くう)」という言葉で表現します。
「空」とは「この世はすべてフィクション」ということ。
言葉がもたらす力は大きくて、「ディズニー」と言えば夢の国を想像するし、「社長」と言えばだれもが大金持ちだと思う。
これらを、龍樹はことばの魔法がみせる「幻」と説きます。
だから、私が苦労した「家族」も「会社」もフィクション。
一つのフィクションに居られないなら、別のフィクションに行けばいい。
ちょっと、救われた気持ちになります。
「空」の境地に行くと、「幻」はすべて消えると言われています。
その先にあるのは「全部つながった」世界。これを「縁起」と呼ぶそうです。
いいな。つながる世界。一人でも寂しくならない気がする。
密教「なりきることのパワー」
朝井リョウさんが書いた『何者』という本があります。
今の自分は何者でもない、と思う。やってみたいことはあるけど、何か肩書があるわけではない。
そんな鬱々とした私を、密教がフックにアッパーで一撃してくれた。
「なり切っちゃえばいいんだよ~!」と。
私は正社員をやめた瞬間、「会社員」という肩書を失いました。
そして今、自分で名乗っている「カウンセラー」という肩書もふんわりしているし、ものすごく稼いでいるわけではない。
正直、心のよりどころとなる肩書が無くなるのは、めちゃくちゃ不安だった。
一方で見方を変えると、肩書が無い=自分のなりたいものになれるということ。
カウンセラーでもいい、お悩み相談の人でもいい。
自分がなりたいものになり切っちゃえばいい!
そう思うと、心のなかに渦巻いていたモヤが少し晴れたような気がしました。
おわりに
昨日の投稿にてお話した通り、このセミナー後、とてつもない虚無感に襲われてしまいます。
今ようやく浮上してきて感じるのは、ことばのお守りがもたらす心強さでした。
しんどくてもいい、虚無感に襲われてもいい。時には、波に身を任せてみる。
キャリアブレイクをして、すぐに自分の道を見つけられるはずがありません。
だからこその「お休み」です。
今しか過ごせない時間をもっと味わおうと思ったのでした。