辺境に吹く風
続けていたことがひと段落して、次は何をしようか考える。
新しいことを始める時は目標を決めず、心の動くままに走って、時々休みながら振り返る。
振り返った時に、走ってきた道を違和感なく飲み込めるなら、それまでの選択は大きくは間違っていない。
途中で拾ったものを一旦振り落とし、身軽になってまた走り始める。
身の回りが楽しくなってきている。
出来るならいつも楽しい環境に身を置いていたくて、今が最高を毎年更新していたい。欲深いものだと思うし、その欲は年が経つにつれ大きくなっている。
足元の水たまりは、いつのまにか湖になり、川を伝って海へと注いでいた。
好きなことをやるには人も機会も少ない地方に住んでいる。
都会に出れば人も機会もたくさんあって、好きなことに触れるのに時間はかからない。毎週だって毎日だって人に会って、集まりに顔を出して、沢山の人と繋がれるかもしれない。
僕はそれをして来なかった。何もせずジッとしていた訳ではない。人や機会の少ない事も含めて。今の場所が気に入っているのだ。
風が通って、天気は気まぐれで、人の減っていくこの地方を。
2022年はとても楽しかった。何度も会っている人達と撮影を重ねて、初めましての人達とは新しい時間を過ごした。
12月は始まったばかり。今は溢れるばかりの写真データを見つめている。我が家にとっての大掃除は、溜まりに溜まったデータの整理から始まるのだ。
来年も好きなことを続ける。続けるからには前に進みたい。作ったものや撮った写真を贈り物のように届けたい。人の心に留まり、遠くへ広がるものを作りたい。
四国に住んでいる。辺境に風を運び、灯りを燈す。
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