可動域も筋力もあげるコレクティブエクササイズの組み方
今回のセミナーでは、可動域も筋力も上げる、コレクティブエクサイズの組み方というテーマでお話しいたします。
コレクティブエクサイズという言葉はご存知かと思いますが、実際にはどのようなものなのか、という疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。
冒頭でしっかりと解説を行い、その後は具体的なエクササイズの組み方やパターン別の評価についてお話ししていきます。
この記事では、約1時間のセミナー動画を閲覧できます。
セミナー動画はこの記事の一番最後に限定公開URLが記載されておりますのでそちらから閲覧をお願い致します。
セミナー動画を通じて、実際の現場で役立つ評価やエクササイズを学び
すぐにセッションで活用できる内容となっています。
ぜひしっかりと覚えていただき、実践に役立てていただければと思います。
今回のセミナーでは、大枠として以下の3つをお伝えしていきます。
コレクティブエクサイズの概念について
コレクティブエクサイズとは、評価、プログラム設計、実行、そして結果の評価を通じて、問題を特定し、解決するセッション全体の流れを指します。
このアプローチはトレーナーにとって強力な武器となり、お客様の動きの問題を解決し、ストレングストレーニングなどに移行する際にエラーを減らすのに役立ちます。
コレクティブエクサイズの要素
コレクティブエクサイズは、抑制、伸長、活性、統合の4つの要素から構成されます。
抑制は筋膜リリースなどを通じて筋肉の抑制活動を行います。
活性は筋力向上を促し、非活動の筋肉を活性化します。
モーターコントロールと統合は、動きのパターンを習得し、滑らかな連動性のある動作を行える体を作ります。
評価の重要性
セッション全体の流れの中で評価が重要な役割を果たします。
評価を通じて問題を特定し、それに基づいて効果的なプログラムを設計することができます。
これらの内容を通じて、コレクティブエクサイズの理解を深め、実践に役立てることができるでしょう。
概念の部分では、筋膜リリースに関連して以下のポイントをインプットしていきます。
①抑制
筋膜リリースは、筋紡錘の活動増加により筋パズムを引き起こしやすくなるということを理解する必要があります。
これが継続すると、筋肉の癒着が起こり、筋力低下につながる可能性が高まります。
筋膜リリースは、このスパズムを抑制するのに役立ちます。
具体的には、筋膜内のゴルジ腱器官が反応し、自己抑制が引き起こされます。
この反射は、刺激を受けた筋膜内の固有受容器によって引き起こされ、そのリリースの強度や持続時間をコントロールすることで、筋紡錘の反応を抑制できます。
適切なリリースの時間は、一般的に30秒から90秒程度です。これは神経反射の伝達に関係しており、神経の適応に時間がかかるためです。刺激が中枢に送られ、適応が始まるまでには時間がかかるため、このような時間が推奨されています。
このような理解を深めることで、筋膜リリースの実践に役立つ知識を身につけることができます。
②伸長
伸長ストレッチに関する概念について、以下のポイントを説明します。
伸長ストレッチでは、主にスタティックストレッチが行われますが、他にもPNFストレッチなど、トレーナーが補助する形式もあります。PNFストレッチは今回取り上げませんが、一応これも伸長ストレッチに含まれます。このストレッチは、可動域の獲得に効果があります。
特に、筋膜リリース後にスタティックストレッチを行うことで、筋肉の伸張性が高まります。
なぜなら、リリースにより筋紡錘が抑制されることで筋肉の緊張が減ることで、筋の収縮能力が改善する為です。
その後にストレッチを行うことで、筋肉の伸長性が向上していきます。
スタティックストレッチはゴルジ腱器官による自己抑制が関与しています。この反射では、筋肉が伸ばされるとゴルジ腱器官に刺激が送られ、筋肉に過度なストレスがかかるとそのストレスを軽減しようとする反応が起こります。
これにより、筋肉が緩むことでストレスが減少し、筋肉が伸びやすくなります。
また、連鎖反応による反回抑制も関与しており、筋肉の興奮状態を抑制し、伸長を可能にします。
このように、スタティックストレッチには細胞レベルでの抑制反応が関与しています。
これらのメカニズムを理解することで、効果的なストレッチの実践が可能となります。
スタティックストレッチの時間について通常、スタティックストレッチは20秒から30秒程度行われます。ただし、筋肉の状態や個人の体調によって異なります。
筋肉の緊張が強い部位や高齢者の場合、より長い時間(例えば60秒)が有効な場合もあります。
このような場合、筋肉の硬さを考慮して適切な時間を設定することが重要です。
スタティックストレッチを行う際には、体のコンディションや伸ばされている感覚を注意深く観察することが重要です。ストレッチを行う間、伸び感が減ってきたり、圧が減少してきた感覚があれば、筋肉が緩み、抑制が効果を発揮している可能性があります。
トレーニング中にお客様のこのような反応をヒアリングし確認をとるようにしましょう。
パーソナルトレーナーは適切なフォームや強度を保つように指導することが重要です。
このような配慮を行うことで、クライアントが最適なストレッチ効果を得ることができます。
確かに、スタティックストレッチを行うことで筋力が低下するという話は一般的に知られていますが、実際のところその効果は個人や状況によって異なります。これは、筋肉のサルコメア(筋肉の構造単位)の長さによっても影響されます。
サルコメアの長さには3つのパターンがあります。サルコメアが短い場合は筋力発揮が弱くなり、長い場合は筋力関係が低下する傾向があります。つまり、サルコメアの長さによって筋力の発揮に影響があるため、ストレッチをすることで筋力が低下する場合もあれば、上がる場合もあります。
特に、筋肉が短縮傾向にあったり、固まっている場合は、抑制リリースを行った後に身長ストレッチをすることで筋力が上がる可能性が高いです。一方で、筋肉がすでに柔らかく、可動域が取れている場合は、スタティックストレッチを行うと筋力が低下する可能性があります。
トレーナーは、クライアントの筋肉の状態や柔軟性を評価し、適切なアプローチを選択する必要があります。このような個々の要素を考慮して、トレーニングプログラムを設計することが重要です。
確かに、柔軟性は骨や関節、そして筋肉の筋軟部組織などから成り立っています。
したがって、柔軟性を高めるためには、これらの要素に対してバランス良くアプローチすることが重要です。
スタティックストレッチや動的ストレッチなど、さまざまな種類のストレッチを組み合わせて行うことで、柔軟性を向上させることができます。
今回のセミナーでは、コレクティブの概念として、抑制と伸長の要素が強調されましたが、伸長というのは筋肉だけでなく、骨や関節にも影響を与えます。
そのため、適切な伸長アプローチは、稼働域の獲得やROMの向上につながります。
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