心を動かす魔法
最近よくなかった。気持ちがずくずくだった。
不安定でイライラしていた。何にイライラしていたかと言うと、、忘れた。振り返ると思い出せない位くだらないことにいちいちイラついていた。
でも、イライラを外に出せない。内に内にイライラを溜め込む。毎日、変な作り笑顔。負けパターン。ダークサイドリズム。
でも、振り返ってくだらないことにイライラしていたと気付ける。ってことは症状は回復傾向にあるってことだね。よかったね。にっこり。
症状が良くなるきっかけは、ふとしたことで心がプラスに揺れる事があった時。求めていない誰かの慰めやアドバイスは、その時の自分にとっては毒になってしまう。
ちょっと回復した話
温泉に家族で行った。娘は妻と息子は私とそれぞれ分かれて入った。
露天風呂に浸かっていると、妻と娘も隣の露天風呂に来た様子が声でわかった。男女風呂ともまあまあ混んでいる時間帯だった。
突然、娘が大泣きした。滑って転んだらしい。
妻がおろおろと泣いている娘に声をかけているが泣き止む気配はない。私も心配になってきた。その時、一人のおばちゃんが娘に声をかけてくれたのが耳に入ってきた。
あら~、大丈夫?可哀想に。痛いよね~。よしよし。おばちゃん、痛くなくなる魔法かけてあげる。痛いの痛いの飛んで行けー!!
まあ、よくあるベタな魔法だ。しかし私は知っている娘にこの魔法は効かない。誰に痛みが飛ぼうが、娘はこの魔法で泣き止んだことがないのだ。ごめん、おばちゃん。
心の中でおばちゃんに謝った。その時、、
痛てっっっー!
私の隣で露天風呂に浸かっていたおっちゃんに痛みが飛んできた!
なんかそっちから飛んできたぞー!
娘はまだ泣いていたが、私と妻はその時、笑っていた。嬉しかった。
風呂上がり、何事も無かったようにロビーで牛乳を飲んでいるおっちゃんと、娘に声をかけてくれたであろうおばちゃんがいた。新しい雪平鍋が欲しいとおばちゃんが言い、買ったらいいさ、とおっちゃんが言った。自然な風景だった。
優しさ、ユーモア、明るい想像力。
人間も魔法を使えるのかも。少しにんまりして、私は少し元気を取り戻した。
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