見出し画像

横浜テクノスケープ探訪・その2:山下公園→氷川丸 からの・・・

【横浜テクノスケープ探訪・その1】からの続き

京浜工業地帯から再び元町・中華街駅へ。今回の横浜行きを決めたきっかけとなった場所に近づくにつれ、おのずとテンションも高まります。
その前に、タイプの違うテクノスケープもちょっと見てみます。


横浜マリンタワー(&山下公園)

 公園はテクノスケープというより、ランドスケープ(自然や人工の景観・風景)でしょうか。
 関東大震災(1923年)の復興事業として、震災で発生した瓦礫がれきの集積場を埋め立て、1930年に開園したのが山下公園です。現在、横浜市が運営しています。春とか秋なら、大きなバラ園が見どころらしいのですが、梅雨時期なのでそれほど華やかさはありません。

かすかにホテルニューグランドも見えます

 背景にある左手のタワーは、「横浜マリンタワー」です。1958年に横浜開港100周年事業の一環で設立され、1961年に開業しました。2008年までは灯台としても機能していたようです。

季節がよければ、もっと花が咲き誇っているのかも
広々と緑豊かな公園

 まったくのトリビアですが、タワーの開業記念として1960年に『マリン・タワーで逢いましょう』(歌:田代京子)というEP盤が発売されたとか。下のサイトで楽曲を聞けますが、どっぷり昭和歌謡ですな。🪗

 タワーといえば、前に紹介した『テクノスケープ』(岡田昌彰著)に、新しさや高さ(完成当時は世界一)を誇っていた東京タワーが、時代背景が変わることでイメージや扱われ方が変化した、とあります。
 新聞記事、歌謡かよう曲、雑誌、観光ガイドブックを時系列で辿たどると、竣工しゅんこう直後は「観光名所」「高度成長の象徴」のように、東京タワー自体がフォーカスされますが、時代とともに風景の一部(背景)や抽象的な扱いへと、存在感が弱まっていきます。
 一方で、1980年代の終わり頃にライトアップが始まって以降は、夜景としてのイメージが強まっていったそうです。興味深い分析ですね?

 あっ、すっかり話が脱線しました。😉

 実は、「マリン・タワーで・・・ 」の楽曲の中に、マリンタワーの歌詞は最後にしか出てきません。タワーを前面に打ち出した歌謡曲かと期待したんだけれど・・・


日本郵船にっぽんゆうせん氷川丸ひかわまる

 山下公園を過ぎて、すぐ目についたのが「氷川丸」です。こちらは船内を見学できますが、時間に余裕がなかったので今回はパスに。歴史あるテクノスケープ(船舶)なので、いつかまたゆっくり堪能たんのうしたいと思います。参考までに、ホームページの解説文を引用します。

氷川丸は日本郵船が1930年にシアトル航路用に建造した貨客船かきゃくせんです。当時最新鋭の船として竣工しました。戦争中は海軍特設病院船となり、終戦までに3回も触雷しょくらいしましたが沈没をまぬかれ、戦後は貨客船に戻り1953年にシアトル航路に復帰。船齢30年に達し第一線を退くまでに、太平洋横断254回、船客数は2万5千余名と、活躍しました。
1960年に引退した後、1961年より山下公園前に係留保存けいりゅうほぞんされ、2008年に「日本郵船氷川丸」としてリニューアルオープンしました。
戦前の日本で建造され現存する唯一の貨客船であり、造船技術や客船の内装を伝える貴重な産業遺産として高く評価され、2016年に重要文化財に指定されました。

日本郵船氷川丸ホームページより
戦前の船らしい気品があります
ヴィンテージ加工してみた


GUNDAM FACTORY ガンダム  ファクトリー YOKOHA横浜MA

 こちらが、今回のテクノスケープ探訪のメインともいえる場所です。実物大(18m)の動くガンダムが見られるのはここだけで、しかも当初2022年3月末までの一般公開の期間が、2024年の3月末まで延長されたと知れば、行かない理由はありません!

 それと、フォローさせてもらっているブルクロさんが、今年の3月にガンダムファクトリー横浜を訪問された記事をアップされてて、そちらを拝読したことも当地行きのきっかけになりました。

 実物大ガンダムの立像りつぞうは、ららぽーと福岡やダイバーシティ東京でも見れるようですが、それぞれモデルが違うようです。RX-78-2 の動くガンダムが見られるのは、どうやら横浜だけみたい。ちなみに、移動しない立像は工作物こうさくぶつになるそうですが、こちらのような動きを伴うガンダムはクレーンなどと同じ「機械」扱いになるらしい。

ふ~ん、知らんかった。🔩

 いよいよ遠くにガンダムの雄姿ゆうしが見えてきました。迷うことなく、入場料(1,650円)を払って中に入ります。

間近で見ると18mはさすがにデカい!

 上の写真の右上に人の姿が写っていますが、入場料に 3,300 円を追加すれば、GUNDUMガンダム-DOCKドック-TOWERタワー と呼ばれる特別観覧スペース(5~6階)まで昇って見ることもできます(時間制)。そこまでの熱量がない私は地上から観覧しましたが、チケット売場ではドックタワーのチケットが次々に完売していきます。すげー人気!😲

これからどんな動きを見せてくれるんだろう・・・

 いざ演出がスタート。声優さんたちによる寸劇すんげきが始まります。ガンダムが前方にせり出し、ゆっくり片足ずつ上げながら進んできます。ファーストガンダム時代の描写は、今のアニメ技術からすればかなり稚拙ちせつなのに、これをよく実物大のロボットに再現できたなー。ただただ感動!

 しかも、後半になるとその動きがもっと繊細に。指の動きもしなやかで、胴体のひねりや首の動かし方もロボットに見えなくて、まるで魂が宿っているかのよう。
 ここに来る前は、1,650円の入場料は高いなぁと思っていたけど、気がつけば・・・



『1,650円でいいもの見せてもらったなぁ~』

 そんな気分に変わっていました。

身体で感情を表現するモビルスーツ(兵器)ってスゴくない?

 実物大ガンダムを見て、大人がものづくりの技術でアニメの世界を再現しようと、真剣に取り組む姿はすごくカッコイイし、この歳になってもあこがれます。かつて日本は、産業技術や人々の生活のすべてを戦争のためについやしてしまいましたが、今では世界中で注目されるアニメというソフトパワーで、多くの人を魅了している・・・ 本当に素晴らしいことです。

★ソフトパワー★
国家が軍事力や経済力などの対外的な強制力によらず、その国の有する文化や政治的価値観、政策の魅力などに対する支持や理解、共感を得ることにより、国際社会からの信頼や、発言力を獲得しうる力のこと。

Wikipediaより

 大人も子供も将来の夢を描きながら、目を輝かせて一途いちずになれること。それが世界中の人々を幸せにできれば、これほど素敵な財産はありません。日本には、これからもソフトパワーをどんどん生み出す役割を果たしてほしい、と願ってやみません。

 横浜での体験で熱くなり、思わずファーストガンダムの第1話を見てしまい・・・。放送当時はあまり興味がなかったけど、今さらながら全話見てみたいなーと、ちょっと気になりだした・・・かな?