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つれづれつづれ

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散文、短編など
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#夢

散文 6

唐突に、誰かの夜が欲しくなって、私は本を手に取るのだった。
ここではない、どこかへの、静かでささやかな旅。

隣では、夢と現の狭間を彷徨う息子が、何やら不思議な舞いを舞っている。
まだちいさな彼は、自分の両手が布団につくその衝撃に驚いてしまうのだ。

両手が布団につくたびに、ビクッとし、また両手を上げる。

薄く目を開いて、時々にやりと笑ったりするもんだから、もうこれは起きているのではないかとひや

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散文5

ゆめ

を見て、真夜中に目が覚めた。

あふれ出したダムだか川だかに放り出されてゆらゆらただよっていたら前方にそれはそれは大きなワニ

が、いて

ワニの目は水晶球みたいに大きくて
どこを見ているかわからないけれど確実に私がいることを捉えていて
怖くて怖くて
流れに逆らって必死に泳いだ

しばらく泳いだら海に出て、
瞬間、力が抜けて、沈んでいった

ああもうだめだ、死ぬんだな、海はきれ

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