散文5
ゆめ
を見て、真夜中に目が覚めた。
あふれ出したダムだか川だかに放り出されてゆらゆらただよっていたら前方にそれはそれは大きなワニ
が、いて
ワニの目は水晶球みたいに大きくて
どこを見ているかわからないけれど確実に私がいることを捉えていて
怖くて怖くて
流れに逆らって必死に泳いだ
しばらく泳いだら海に出て、
瞬間、力が抜けて、沈んでいった
ああもうだめだ、死ぬんだな、海はきれいだな、ワニがいなくて安心で
でも、もう死ぬんだな
そんなことを思っていたら、目の前ににゅっと手が伸びてきて
私の手を取ってぐいっと上へ引っ張り上げた
急激な浮力を感じて、目が覚めた
あの手は、一体、誰の手だったんだろう
時計を見れば4時26分で、濃い闇の中、指だけで隣で眠る顔をなぞった
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