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牛は動かせないから自分が動く

車のおそらく前輪からシャリシャリと異音がする。
自動車での遠距離移動を控えているため、早急に解決したい問題だ。
とはいえ、わたしは車には疎い。
そこで夫に「走行中に前輪からシャリシャリと気になる音がするから、今週末あたりたしかめてみてほしい」と頼んだのが水曜日のこと。そしてこの週末は3連休だったにも関わらず、夫が車に乗ることはなかった。

8月に誕生日があった夫。同僚やうちの妹などからお酒のプレゼントをいただいた。届いたお酒はキッチンの床に箱ごと放置されている。「ぼちぼちしまってくれる?」と頼んだら「週末片づけるわ」とじゃっかんイラッとした表情で返事。その週末から、もう3週間は経過している。

仕事の疲れもあるだろう。平日はゆっくりしたいだろう。
理解はしているつもりだ。
しかし週末はまるで牛のように食っちゃ寝食っちゃ寝、ときどきゲームの様相をみていると、ひと言ぐらい言ってやりたくなってくる。
しかし「この土日でやってくれるんだよね?」と口を出してはいけない。穏やかなホルスタインがいっきにブルに変貌すれば、そのほうが面倒くさい。ていうかそれ、逆ギレじゃん。

できないなら最初から約束しないか、確実に遂行できる日を教えてくれと前々から口酸っぱく伝えているのだが、暖簾に腕押しといったところだ。牛はなかなか動かない。

∽∽∽

自分も自分で、以前はもっと寛容だったと思うのだ。
でもフリーランスになり、いつも納期を気にするようになり、今までより自律が求められるようになったがために、ちょっとした頼まれごとや家事も仕事と同様に意識してスケジュールに組み込むようになった。

だから夫に対しても「週末という納期があるのに、なぜやらない…?」という見方をついしてしまうようになった。口には出さないが。

しかしまあ、そんなことがいちいち気になるなんて、わたしもまだまだ暇だ。
一度頼んだのなら、任せて忘れたほうがよい。
それができないのなら諦めて自分でするか、プロの手を借りたらよい。

以前、あまりにも頭にきたために目に見える範囲で散らかった夫の所有物をすべてゴミ袋にぶち込んだことがあるが、それでも夫はなにも気づかなかった。「勝手にさわるな」という割に、勝手にさわられたとて気がつかなかった。そんなもんなのだ。
あんまりとりたくない手段だが、最後の最後の必殺技として心の片隅に置いておくだけでスッと楽になる。

だから、ぐじぐじイライラ悩んでいる時間がいちばんもったいない。
わたしの力では牛を動かすことはできない。
それなら牛をどうこうするのは諦めて、自分が変わるのみ。
なにも夫に対してだけじゃなく、誰に対しても。

自分の暇さ加減と、自分にできることのみに集中する大切さにあらためて気づかされた連休であった。



今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたが最近、自分のことを嫌になった瞬間はいつでしたか?

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