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伝言ゲームは災いのもと

自分への戒めも込めて書く。
誰かとの会話でたまに表れる「Aさんがあなたのこと◯◯って言ってたよ」発言について。

この類の発言は大きく3種類に分かれる。

まずは「よろしくお伝えください」だ。
「そういえば、Aさんがあなたに『よろしく』って言ってたよ」
ビジネスでもプライベートでもよくあるだろう。
なんらかの理由・事情でその場に来られなかったAさんが、あいさつ代わりに伝言を頼むケース。
この「よろしく」パターンは3種類のうちもっとも波風の立たない無難な伝言といえる。

次は褒め言葉パターンだ。
「◯◯って言ってたよ」の◯◯にはいわれて嬉しいこと、褒めるような内容が入る。このケースはAさん本人から直接いわれるよりも喜びが倍増する可能性があり、プラスに働くことの多い伝言だ。
口下手、褒め下手ならとくにうまく活用したいし、そうでなくても誰かの長所をみつけ、言葉にできるのは素晴らしい。

最後は、「え、それいう?」パターンだ。
「あなたのこと冷たいっていってたよ」「仕事できないっていわれてるよ」など、いわれて嬉しくないどころかネガティブな気持ちになる内容。
これは気をつけたい。
Aさんには「え、そんなこと思ってたんだ」「本人に直接言えないなら陰で言うなよ」とそれまでの信頼関係に勝手にヒビが入る。

さらに、それを伝えてきた相手の人間性も疑うことになりかねない。
「それ、わざわざわたしに伝えなくてよくない?」
「わざわざわたしの気分を損ねようとしているのかね?」

…最後のパターンの派生形として「怒ってる?って心配してたよ」などがある。Aさんは本人に直接たしかめる勇気がないからか、人を頼って安全なところから尋ねているわけだ。たぶん。
恋愛の場面などではよくあるのかもしれないし、そんなやりとりも楽しい甘酸っぱい仲ならどうぞ盛り上がっていただきたい。

問題はそうじゃない状況。
Aさんも、目の前で話している相手も、期待し想定している回答は「怒ってないよ」だろう。

だからといって本当は怒っているのにそこまで気を遣って「怒ってないよ」と答えるのもちょっと歪んでいる気がする(というか嘘をつくことになる)し。

かといって「怒っている」と答えたら、目の前の相手はAさんに「えいみさん怒ってたよ」と伝えるのだろうか。どんな気持ちで?

たしかに、Aさんを目の前にしていないからこそ「実は怒っているんだよね」と本音を出しやすいこともある。
でもそれって、Aさんと同じように、Aさんに隠れてボールを投げているよね。

…そんなふうに、本人を目の前にして本音がいえない関係って、要るのかね。

ビジネスの場なら、必要なのかもしれない。
人間関係が「要る・要らない」で簡単に分けられるものでないことも、頭では理解しているつもりだ。
しかしそれでも、プライベートにおいて伝言ゲームでしか相手の本音をたしかめられないのなら、せいぜい上辺だけの信頼関係ではなかろうか。
そして伝言ゲームは上辺だけの関係である事実をわざわざ露呈させる行為ではなかろうか。

∽∽∽

こんなふうだからわたしは人づきあいが下手くそなのかもしれないが、安全な場所からボールを投げてくる人がどうにも信用できない。陰口はもちろん伝言ゲームもじゃっかん訝しく思う。

だから自分も、安全な場所からボールを投げるようなことはしたくない。本人に直接言えない、尋ねられないのなら、最初から誰にも言わない。

昔「みんな、えいみちゃんのことうざいって思ってる」のひと言で傷ついた。猛烈に頭にきた。憤りを感じた。
そういう原体験があるから、やっぱり自分は伝言ゲームを始める人にはなりたくない。同時に、申し訳ないがそういう相手は多少なりとも信頼関係にヒビが入る。

人づきあいは上手にはなりたいが、この価値観は曲げられない。

自戒の念を込めて、伝言ゲームには気をつけよう。
口は災いの元。
伝言するなら、褒め言葉。



今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたが最近伝言ゲームで耳にした褒め言葉はなんでしたか?

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