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花散らしを待つ日

寒がり冷え性のわたしでもヒートテックを脱ぎ捨て、なんなら昼間は靴下も要らない。
夜になっても暖房をつける必要がない。

昼の日差しは強まったとはいえまだ夏のようなギラつきはなく、風はもんわりと生暖かい。

ついにこの日がやってきてしまった。


こういう「春らしい」日は昔から心がざわつく。
胸がきゅうっと締めつけられる。

名残惜しく切ない別れがあるわけでも、期待と不安が入り混じる新生活が始まるわけでもないというのに、なぜか妙に心もとなくなる。

わたしだけなのかしら…と思い、Googleの検索窓に「春」と入力すると、「春 不安感」がサジェストで上がってきた。
…なるほど。どうやらわたしだけではないらしい。

残念ながらわたしは、自分だけではないことが安心材料になるほど素直な性格の持ち主ではない。でもサジェストに上がってくるということは、Web上になんらかのヒントが落ちていると期待できる。

上位数サイトをざっと眺めていると、さっそくみつけた。

冬枯れした木々に、柔らかな新芽が一斉に芽吹き出す3月から4月にかけては、「木の芽時」と呼ばれます。実はこの「木の芽時」は、昔から精神科医の間では、メンタル状態が悪化する人が増える要注意時期として有名です。

春のメンタル不調 意識的な「緩み時間」でケアを - 日本経済新聞

GW明けの五月病は有名だが、やっぱり今の時期もあるじゃないの。
どうやら2つの変化がカギらしい。

環境の変化と、気候の変化。

環境の変化は、卒業・入学・クラス替え・人事異動など。
くわえて、気候の変化。
菜種梅雨、春雨など頻繁な天気の変化、そして日ごと・朝晩の気温差。

どうにも抗えない大きな変化に適応しようと自律神経がフル稼働し、それでも対応しきれないと心身に不調をきたすのだと。

∽∽∽

ちょっと待った。
わたしにとって今年の春は気候の変化だけで、環境にはなんの変化もないじゃないの。
それでも気持ちがどんよりするのは、単に気候の変化に追いつけていないのか、はたまた過去の経験の蓄積により「春は落ち込むものなのだ」とタトゥーのように刻み込まれているのか…。

前者だとすれば「陥るべくして不調に陥っている」といえるが、後者だとすれば「必要もなく落ち込んでいる」といえる。
前者なら仕方がないと受け流せそうだが、後者なら勘弁してほしい。

そして、おそらくここでいちばんやってはいけない行為は、「落ち込む必要がないのに落ち込んでいる自分はくそだな」との自責だろう。

分かっているのだから、それだけは避けよう。
わたしはだめじゃない。
この季節に紐づく今までの経験のせいで、ちょっとセンチメンタルになっているだけだ。


焦り、不穏、不安、孤独…
色とりどりのネガティブな感情が心のなかで一斉に咲き誇るこの季節。
桜には降ってくれるな花散らし。
降るならわたしに降ってくれ。

まだもうすこし時間がかかりそうです。



今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたにとって春はどんな季節ですか?

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