【ケイゾク】真山に「頭くせぇ」といわれたい
なかなか寝つけない日が続いている。
眠いと感じてふとんに入るものの、なかなか眠れない。
たまに、不定期にやってくるのだ。寝つけない時期。
こういうとき、どうするか。
本当は本を読みたいのだが、同じ部屋で夫が眠っている。電気をつけるわけにはいかない。
イヤホンをそっと耳に差し込み、動画配信サービスのウォッチリストから連ドラを再生する。
不思議なことに、どんなにおもしろいドラマでもふとんに入って観ていれば数話のうちに寝落ちしている。
1話45分ぐらいだから、2話で1時間半。4話で3時間。
平均2~3話、遅くても4話だ。
ドラマに集中できるぶん、余分なことをあれこれ考えずにすむのがいい。
つまらないドラマやニュースだと目は映像を追っていても、頭は明日やるべきことや仕事のことを考えはじめ、不安や緊張を感じて神経が昂ぶってしまうから。
そういうわけでね、4日かかって1作品観たんですよ。
『ケイゾク』
1999年に放送された刑事ドラマで、主演は中谷美紀さんと渡部篤郎さん。
本当は久しぶりに『SPEC』を観ようかと思ったんだけれども、シリーズ前作となる『ケイゾク』はまだ観ていなかったなあ…と。
それにね、今放送中の『あたりのキッチン』の渡部篤郎さんが好きなんです。最近はダークな役が多い印象だけれども、悪者じゃない役の渡部篤郎さんがね。
簡単にいってしまえば、渡部篤郎さんが見たかったといっても過言ではない理由で再生した『ケイゾク』
結論からいって、エモかった。
まず主題歌のなんともいえない平成感。
中谷美紀さん、歌も歌うなんて知らなかったし、作曲はあの坂本龍一さんである。そのオープニング曲に合わせて流れる映像がちょっとホラー感ある不気味さで、サブリミナルっぽい。なんか忘れられなくなりそうな感じ。
全体的に画面が暗い。
暗いのだが、シュールでコミカルでニヤッと笑ってしまうシーンも散りばめられている。
前半は1話完結なんだけれども、後半からは真山(渡部篤郎さん)が追っている事件の真相をつきとめていく展開になる。
テンポがいい、というか、間と静寂がいいのだ。
真山の意志と葛藤、「ふらり」という形容がよく合う所作(とイケメンっぷり)。
天才的頭脳の持ち主だがだいぶ抜けていて、頭がにおう柴田。
のらりくらり、ちょっとイタいおじさんである野々村係長。
「きっと何か隠してるよね」と思わせ続ける木戸。
全員が絶妙な距離感で、絶妙に連携していく様がいい。
変に恋愛要素がないのもいい。
登場人物全員クセが強いのだが、犯人側がねっとりとした靴の裏にひっついたガム感があるのに対して、刑事側は各々の目的に向かって、変につるまないから「さらり」としている。
たとえるならキャロライナリーパーが練り込まれたうどんのようだ。つるっと入ってくるのだが、しっかりスパイシー。
ネタバレなしで書くとどうしてもおもしろさを伝えきれないのだが、ストーリー全体を通じてみれば、演出のとおり「暗い」のだ。場面のつくりも話の展開も。
静かだがシュールで、ムダなセリフがひとつもなく、間合いが良いおかげでテンポが良い。
もやっとすることはするけれども「どんより」はせずにすむ。
…このドラマが放送されたのは1999年。
バブルが弾けて10年ぐらい?
不況の時代だよね。(日本はずーっと不況だけど)
まだそこかしこで煙草が吸えた時代で、携帯電話は二つ折りですらなくPHS。もちろんGPS機能なんてついていないしカーナビもないから、紙の地図で。
人とのやりとりは直接会って話すか、電話か、PCでのEメールだ。
たぶんそれが、人と人との心地よい距離感・つながり・連携にもつながっているのだろう。
そういう平成レトロが、「暗さ」とあいまって余計にエモかった。
いやあ久しぶりに良いドラマを観た。
包丁、拳銃、飛び降り、流血…
最近のドラマよりも描写が過激だったと感じるので、苦手な方は注意してほしい。
しかしアウトレイジが見ていられなかったわたしでも目を背けず見られたことは補足しておく。
今日も寝つけなかったらなにを観ようか。
『ケイゾク』特別篇でも観ちゃおうかな。課金が必要だけど。
今日も読んでくれてありがとうございます。
あなたは眠れない夜、なにをして過ごしますか?
『ケイゾク』が気になる方は詳細こちら。